さよならの理由(2/3) 軽く口づければ、エースも一緒にベッドに入ってくる。 2週間も出ていて、疲れが溜まっているはずなのに、ピンピンしているエース。 「疲れてないの?」 「生憎だが、俺はゆいと今から疲れることしなきゃ寝れねぇんだ。」 「…食事中でも寝る癖に?」 「いや…あれは……、な?」 ばつの悪そうな顔をしたエースは、ゆいの上に被さった。 何が な?、だ… 誤魔化しただけだ。 でも、この空気に弱いゆいは誤魔化されて… 「…ずるい。」 「はいはい、終わったらいくらでも聞いてやるよ。」 待って…その言葉を発する前に、ゆいの唇を奪ってしまったエース。 強引なところは、いつもと何ら変わりはない。 つい10分前までは冷たいベッドで一人、眠りに落ちる予定だったのに… エースの上手なキスは、ゆいの身体をその気にさせてしまう。 終わったら聞いてくれると言うが、終わる頃には疲れて寝てしまい、喋るのはきっと朝になる。 そんな時に、今思った事をすぐに思い出せるはずがない。 きっとこれも、ずる賢いエースの作戦のうちなんだ。 そんな狡いエースの作戦も、上手なキスも、今のエロそうな顔だって… 悔しいのに、一々ドキドキしてしまう。 言葉じゃ足りない程、好きで… 上手な詐欺師に引っ掛かったものだ。 さっきまで、エースがいる時間は凄く大切な時間だって思っていたのに、今はそれを思う暇も与えてくれやしない。 結局、愛されて疲れて、そのまま眠ってしまった。 朝、起きれば昨日とは違う。 ちゃんとエースがしっかり抱きしめてくれていて、寝返りも打てない状況だ。 こんな時間を過ごすたびに、一人の寂しさが大きさを増していくんだ。 もし、どっちかが先に死んだら…? どちらか…と聞けば、きっと戦闘員であるエースの方が可能性は高くなる。 エースが先にいなくなれば、自分は耐えられないだろう。 想像するだけで、目の奥が熱くなる。 エースのいない日々。 帰ってくると知っているから、きっと待ってられるんだ。 もう二度とエースと会えなくなれば… ← | → |