僕の隣、欲しいならあげる(4/4) 「どーせ赤い糸があるか、とか聞きたかったんだろ?」 全くその通りで、言葉が出なくなる。 エースは時々エスパーを使う。 ちょっとした事だって解ってくれたり、言いにくい事とか嬉しかった事とか…色々言い当てる。 悔しいけど、嬉しい。 「うん。 …どうして信じないの?」 「んなもん信じれる根拠がねぇだろ?」 「わあ、メルヘンの国の王子様失格だね。」 「まだメルヘンの話しかよ…!」 「本当はこの話しからメルヘンの話しになったんだよ。」 ニコッと笑って、小指をエースに向けるゆい。 全く繋がる要素がどこにも無いが、エースはそうか、と頷く。 「赤い糸ってないの?」 「さあな? 俺はゆいと赤い糸だなんて柔なもんで繋がってるとは思わねぇし。」 「でも繋がってたら素敵だよ?」 もしかして、死んだ後だって一緒になれるかも!とゆいは笑う。 素敵とか、ロマンチックを求める女の子の気持ちをイマイチ理解できないエースは頭を掻く。 小指を見つめるゆいの小指に、自分の小指を絡めたエースは言った。 「これでいいだろ?」 「?」 「指切りだ、絶対ぇ死んでも隣な。」 エースの大きい小指は、ゆいの細い指を貧相なものに見せる。 巻き付いてきたエースの小指に、ゆいも小指を絡めた。 「指切りはいいんだ?」 「指切りは目に見えるだろ? それに絶対に相手はゆいだからな。」 確かに、相手の見えない赤い糸に頼るゆりは2人で指切りした方が早いし確実だ。 いつもエースにこんな形で納得させられるゆい。 ずるいくらい格好いい。 「…約束だよ?」 「ゆいもな?」 ニッとわらって、お互いに指切った。 未来なんて、どっちにしろ見えるものじゃないけど… エースとの未来は、微かに見える気がした。 end ← | → |