僕の隣、欲しいならあげる(3/4) 「ゆいの方がメルヘンだろ。」 「うう…そんなにわたし、メルヘンな顔してるの?」 「ああ。 メルヘンで襲ってやりたいぐらい可愛い顔してる。」 ニヤッと笑うエース。 メルヘンな国の王子様に、是非謝りたい気分だ。 「じゃあメルヘンの国に帰る。」 「ゆいが帰るんだったら、俺も帰らなきゃなあ。」 「何でよ…エース、全然メルヘンじゃないもん。」 「でも王子様なんだろ?」 言葉に詰まった。 全然メルヘンな王子様じゃないのに。否定したいのに。 でも先にエースがメルヘンの国の王子様だって話題をしたのは自分だ。 嫌そうな顔をしてエースを見れば、苦笑が返ってくる。 そんなに嫌かよ、と。 何だかんだで部屋に着けば、メルヘンの話より小指の話を思い出した。 そういえば、最初は赤い糸の事を話していたんだ。 エースのベッドにダイブすると、その横に腰を下ろすエースの手を見た。 正式には小指を見た。 わからないので、エースの手を自分の方へと持って来る。 「…今度はどうした?」 小指をマジマジと見つめるゆい。 赤い糸は見えないらしいけど、見えたら誰と繋がっているのかが知りたい。 …でも嫌かもしれない。 もし自分と繋がってなかったら、知りたくない。 エースの小指と自分の小指を見比べる。 「…エースはね、」 「信じねぇよ。」 「え!?」 言葉を続けようとしたら、先に返事が返ってきた。 吃驚して、エースの顔を見上げる。 ← | → |