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僕の隣、欲しいならあげる (1/4)








「やっぱり赤い糸とか馬鹿馬鹿しいわよね。」



いつものティータイム時間。


今日は珍しく先輩達は沈んだ雰囲気でお菓子を食べたりしていた。


何があったのか、1番最後にこの医務室に入ってきたゆいには分からない。


ただ話の流れから、先程の言葉を呟いた先輩が彼氏さんと上手くいかなかったらしい。



それにしても、謎だ。



「?…何で赤い糸なんですか?」



「「え…!」」



「?」



ゆいが聞けば、空気がゴロッと変わった。


ゆいの方へと視線が飛ぶ。



だが沈んだ空気から、ナース達は一斉に笑いはじめた。


どうやら自分だけが知らないらしい。


彼氏さんと別れたと思われる先輩は、焦るゆいに笑いながら言った。



「赤い糸って、聞いたことない?」



そう言って、利き手の小指を立てた先輩。

その意味も理解できないし、第一赤い糸は裁縫用の糸しか考えつかない。



「どこか縫うんですか?」



「馬鹿ね、縫えるんだったら今頃わたしだって小指に縫い付けてるわよ!」



「こ、小指にッ!?」



痛い…と感じたゆいは、顔を歪ませた。


なんて残酷な話なんだ。


それに今の話的に、彼氏と別れて赤い糸が馬鹿馬鹿しいって…

全く繋がったものではない。



自分の小指を見つめれば、赤い糸の恐怖を感じる。


解ってないゆいに、ナースは笑う一方だ。



「…ゆい、赤い糸って言うのはね、目に見えないのよ。」



「糸なのに見えないんですか?」



「ええ、そうよ。」



「じゃあ何で赤いってわかるんですか?」



ひとまず目に見えないという事がわかり、小指を縫う赤い糸のイメージが頭から消える。


謎がいっぱい出て来る赤い糸とやらに、ゆいは興味津々だ。



「赤い糸はね、目に見えないけど自分の小指と運命の人との小指に繋がっているのよ。
ほら、愛とかって赤いイメージない?」



口にクッキーを運ぶ先輩。


確かに言われてみれば、白い糸より赤い糸の方が雰囲気は出るかもしれない。



「…運命の人と、繋がってるんですか?」



「そうよ。
まあゆいはエース隊長と繋がってるんじゃないの?」



「エースと赤い糸ですか?」



エース、その単語に明らかに嬉しそうな反応をするゆい。


本当にため息が零れるほど、ゆいもエースも溺愛している。





 







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