エープリルエース(4/4) エースの部屋に付けば、エースはゆいをベッドに下ろした。 そして、引き出しを漁り始める。 ゆいは涙を拭いて、エース見つめた。 何が出て来るのだろうか。 エースは紙を出して、まあいっか…と紙を持ちベッドに戻る。 持ってこられた紙は、カレンダーだった。 そしてエースは言う。 「ゆい、真剣に聞けよ。」 「う、うん。」 まただ。 凄く怖い空気が流れる。 エースがカレンダーをめくる。 しかもそれは、去年のカレンダー。 だからさっきエースは、まあいっか…って言ったんだ。 表紙をめくれば、4月のページになる。 「ゆい、今日は何日だと思う?」 「…今日は、1日だよ。」 「だろ。…これ、意味わかるか?」 エースは1日の欄を人差し指で指した。 そこに書いてある文字を、ゆいは読んだ。 「えーぷりる…ふーる?」 語尾を上げて、解らない事をエースに示したゆい。 それに、やっぱり…とエースはゆいの頭を撫でて言った。 「ゆい、今日はエープリルフールっつーんだ。 まあ簡単に言えば、今日は嘘を吐いても良い日、なんだ。」 「…嘘を吐いても、いい日?」 ああ、と頷くエース。 ゆいはカレンダーを見ながら、また固まった。 そんな日があったのか。 エースが何が言いたいのか…ゆいは解ってしまった。 「じゃ、じゃあ世界のリセットは…嘘?」 「嘘だな。」 「じゃあエースとずっと一緒にいれるの?」 「世界が終わったって、俺はゆいと一緒にいるつもりだけどな。」 ニカッと笑うエース。 ゆいはそんなエースにまた抱き着いた。 嘘に怒った…とか、 何でもっと早く言ってくれないの?…とかより、 安心した方が大きかった。 ゆいの背中に回ってきたエースの腕。 引っ付けば、笑っているエースの声が聞こえた。 「ほんと、騙されやすいのな。」 「…だ、だって皆が同じ顔して言うんだよ!? それに先輩まで…」 「ナースの姉ちゃんにまで からかわれたのかよ。」 「うう…っ いいもん、来年は皆より上手に嘘吐いてあげるから!」 「はいはい、頑張れよ。 まあ無理だと思うけどな。」 「や、やる前からそんな…っ」 くしゃくしゃっとゆいの髪を掻いたエースは、腹が減った、と食堂へゆいを引っ張った。 そこでも からかわれたゆいがいたのは、誰でも知ってる事だったとか。 end ← | → |