エープリルエース(3/4) 甲板へと出てきたゆい。 船尾近くで、今起きました…という雰囲気を放ちながら頭を掻いているエースを発見。 エースは暢気に欠伸をしている。 もしかしたらエースは知らないのかな? ゆいはエースに抱き着く。 エースは突然現れたゆい、そして突然抱き着かれた事にビックリするが、しっかりゆいを受け止める。 「ゆい?」 「エース、どうしよう!」 「ど、どうしたんだ?」 顔を上げたゆいの涙目に、エースはドキッとした。 朝から涙目上目遣いは刺激が強い。 しかも不寝番で昨晩ゆいを抱いてない今日に限って…! そんな事を駆け巡らせるエースとは裏腹に、何度も言うがゆいは真剣に焦っている。 「エース…わたしまだエースと一緒にいたいよ…っ」 「な、なんだ? マジで何があったんだよ、おいっ」 これはゆいの嘘なのか? 明日はエープリルフールだとか思って、寝ないでゆいへの嘘を真剣に考えていたエースにとっては、先手以外の何でもない。 だが、それにしては上手すぎるゆいの演技。 嘘が下手くそなはずなのに、泣きつくなんてできる奴じゃない。 もしかしたら。 「…ゆい、今日が何の日か知ってるか?」 「…世界が終わる日…っ」 ああ、やっぱり。 ゆいは騙され済みだった。 しかも世界が終わる日という、定番中の定番に引っ掛かっている。 こんなベタな嘘を吹き掛けるのは、サッチぐらいであろう。 エースはゆいの頭を撫でて、言った。 「そうだな。 もうちょっとで世界が終わっちまうな。」 サッチの嘘に乗ったエース。 ゆいはエースを握る腕を、強めた。 離れたくない。 エースとさよならなんて、嫌だよ。 「エース、大好きだから…離れちゃ嫌だよっ」 「ああ、俺も愛してる。」 泣いてしまったゆい。 そんなゆいを抱き抱え、自分の部屋へと歩き出す。 さすがにやり過ぎたか、と。 ゆいが泣いている所を見られては、誤解されてしまう。 ← | → |