見せかけ草食系(3/5) 唇が離れると、エースは嬉しそうに笑っていた。 「…ゆいはこういうの、好きか?」 尋ねるエースに、ゆいは首を傾げる。 理解しがたい言葉に、エースは付け足す。 「俺が大人しくて、眼鏡で、本読んでるの、好きか?」 何が言いたいのかと思えば、今のエースの姿か。 ゆいは少し考え、言った。 「…エースじゃないみたい。 正直ね、ドキッとしたけど、いつもは嫌だ。」 そう言えば、後ろからぎゅっとゆいを包むエース。 甘えたで、でも誘ってくれるのはエースがいい。 「あー、すんげー好き。」 「なにそれ。」 理不尽な発言に、思わず笑うゆい。 だが一番気になっている事はまだ何も知ってはいない。 「ねぇエース、」 「あぁ?」 「どうして本読んでたの?」 「ああ、言ってなかったな。」 そう言えば、ゆいを放し、先ほどの本の上に眼鏡を置く。 いつものエースの顔だ。 何もしなくても格好いいのに、何かしたら心臓が持たないよ。 本と眼鏡を見て、エースは言った。 「これ、サッチの秘密アイテムらしいぜ?」 「……どういう意味よ。」 訳が分からない。 どこにでもある普通の本に普通の眼鏡が、秘密アイテム…? 「昨日、サッチとナースと話してたんだよ。」 エースは話し始める。 ← | → |