色々な部分を責めまくってみる(ディバゲ/アオアリ/R-15)
2015/10/01 03:13

※深く考えずに読んで頂きたいアオアリオムニバス風短文集です。
※たぶん特殊性癖。












 手のひらをきゅ、と握ると、少しだけ顔を顰めさせる。指をそっと、なぞるように爪で撫で上げると、唇を噛んだ。すこし乾いた、かさついた唇はよく見ると亀裂が入っている。そんなに傷付けるほど我慢しなければいけないのかな?
 だからと言って、手を緩めようとは思わない。アリトンの右手を、両手で抱えて自分の口に持っていく。僕の舌先に中指が触れて、それだけで肩を跳ねさせて驚いた様子に、僕は大層気分がよくなった。
 にいさん、と、掠れるような声で僕を非難するのには目を向けず、濡れた指先に息を吹き掛けると目を見開いて逃れようともがく。
 だめだよ、まだ離さない。そう意味を込めて、中指と薬指を口のなかに招き入れると、我慢できずに声が漏れた。
「ひゃ、っ」
全体を濡らすように丹念に舌で舐め回す。唾液をたっぷり絡めて口のなかに出したり入れたり、そうすると段々とアリトンは涙を滲ませて、僕を見る目がとろけてくる。深呼吸をしてどうにか息を整えようとしているけれど、その合間を見計らって人差し指と中指との合間の谷を、そうっと指先で撫でてやると、今度は息を止めて我慢しようと躍起になっている。流れるように手のひらまで爪をなぞらせていくと、今度は顔を隠すように項垂れた。見られたくないのはわかってる、アリトンはとてもプライドが高い。僕にだってそんな顔は見せたくないんだよね。けどごめん、僕はその顔が見たいんだ。
くるくると掠めるように、しかし確実に触れるように手のひらを円を描くように撫でると、また声が我慢出来なくて「んんッ」と口のなかに留まるような声が上がった。ああ堪らない、かわいい。
 親指を擽るように引っ掻きながら、今度は小指を口に含む。力の抜けた指は僕の良いようにされるがままで、アリトンは自分でそれが信じられなくて、今度は何をする気だと視線で訴えてくる。怯えたような、けれども誘っているようでもある目がかわいい。
 ひくつく指にそっとキスをして、僕は小指に淡く歯を立てた。
「う、ぁッ!?」
緩く歯で挟んだままの小指に舌を添える。親指や他の指とは自分の指を絡ませて挟める。そのまままるで自慰みたいに上下に動かすと、もういやだ、とアリトンが叫んだ。かわいいな。馬鹿だな。やめるわけないじゃないか。

【左手・指】





 ふうっと息を吹き掛けると、中まで生ぬるい温度が行き届いたことに驚いて、アリトンは肩を竦めた。逆側の耳には手を延ばして、耳たぶを弾くように指で弄ぶ。背中が丸まってくるけれどそんなのはお構い無しだ。もう片方の手で左耳の裏を擽りながら、舌を耳のなかに突っ込むと、いつもとは違う高い声が上がった。おまけに耳が真っ赤になっている。ああ、顔まで赤くなっているんだろうな、かわいい。
「ひゃっ、あ」
奥の奥まで入れてやるつもりで、力づくで舌を押し進める。けれどもあまり入ってはいかなくて、すこし残念な気持ちになりつつ耳の裏を引っ掻く。唇で柔く食んで、温度を与えるようにそうっと、そうっと息を吹いてやると、僕の腕を掴む力が強くなった。我慢しているんだな、嬉しい。そうしなきゃいけないくらい、アリトンは気持ちよくなっている。
 右耳はひたすらに、めちゃくちゃに指や爪で軽く、けれども加減はしないで引っ掻く。耳のなかに指を潜らせ、軟骨を挟んで小刻みに擦ってやると、逃れようとして僕の胸に頭を押し付けてくる。そうすると僕がアリトンを抱き締めているような、アリトンがあやして欲しがっているような体勢になる。気づいていないかもしれないけれど、誘っているようにしか見えないよ、完全に悪手でしかない。
 唾液で浸してやるように、左耳の窪みに舌を這わせると、もう我慢が出来ないのか、それでもと自分の指をぎりぎりと噛み締めて声を圧し殺している。いじらしくて愛らしい。顔はよく見えないけれど、きっと真っ赤でかわいいんだろうな。
 かり、と音を立てて、歯を立てて耳たぶを柔く噛む。口のなかに触れる部分は舌先で撫でることも忘れない。そのまま指で耳の裏を撫でながら、歯を立てた口をつーっと移動してやると、腕を掴む手から力が抜けた。
 それでもまだ離さずに、舌を這わせて耳をぐしゃぐしゃにしてやる。同じようなことを何回も繰り返して、最後に耳の淵を、ぢゅっと音を立てて吸ってやると、ぎくりと肩が強ばった。
 やり過ぎたかな。けれどもまだやることはたくさんあるのだ。

【耳】





 人形のように力が抜けた体の、足首を掴んで履いていた靴と靴下を脱がして床に投げる。体が思うように動かなくてされるがままだけれど、目線だけはしっかりこちらに難色を示した。
 裸足になった右足首を掴んで、指を絡ませるように右手で爪先を握り混む。そして解放してから、前置きせずに指を口のなかに迎えた。
 「うわっ!?」
信じられない、とでも言いたげな目が寄越される。
 それも楽しくて、自由な方の手で足裏を擽りながら指を吸う。たまに根本に歯を立てるのも忘れない。柔く揉みしだきながら、足首を掴む力を緩ませて、手首を捻るように撫でると、爪先が口の中で丸まったのがわかった。
 顔を隠すように上半身を捻って、腕で覆い隠す様はなんだか泣いているみたいで、子供のころの可愛らしい泣き顔を思い出す。肩と背中が震えていて、なんだか無理矢理犯されそうになっている女の子のようで、言ってしまっては悪いけど、煽られてしまうだけだ。本人には勿論そのつもりが無いのはわかるだけに、ほんの少し申し訳ない気持ちになりながら、足指を舐めることをやめない。
 指の間から爪の縁まで、余すところが無いように舌で撫で回す。たまに手の指で爪を立ててやるのも忘れない。優しく優しくしてやりながら、たまに噛み千切るほどの力で歯を立ててやると、「ぎ、ィ……っ」と我慢出来ない声が聞こえる。血が滲んだ歯形を、殊更丁寧に優しく舌でなぞってやると、嫌がるように爪先が丸まった。
 指を唾液まみれにした次は、踵や足首を齧って土踏まずを舐めあげる。指の腹でも撫でて、爪で軽く引っ掻いてやりながら不規則にきつく吸うようなキスを施すのも忘れない。たまに腰や拘束していない方の足がひくついているのがとてもいやらしいものに見える。
 引っ掻き跡や歯形で埋まった、唾液のせいでてらてらとひかる足は、何だかすこし痛々しい。血がところどころ滲んでいるせいで、歩くのが億劫になりそうだと思った。
 ちらっと上半身に目をやると、目元を腕で隠して、苦しそうに呼吸をする口元が見えた。
悪戯心でもう片方の足首を掴むと、ぎくりと動きが固まった。
「ちょっと、何……」
履いていたものを剥ぎ取って、逃れようともがく行動を制するように、足首を舐めあげると、声にならない声が辺りに散らかった。

【足】





 「やめ、ろっ……」
左手首と右手首を、押し付けるように左手で相手の頭上に抑える。横たえられた上半身に馬乗りになれば、体重を乗せて相手を制するのは簡単だった。睨んでいるつもりかもしれないけれど、真っ赤な顔ではそれも意味がない。
 歯を剥いて怒りを露にしている様は、なぜか動物の威嚇に見えてくる。
 その口許に右手を持っていくと、意図を察したのか唇を引き結んで顔を背ける。触れると逆側に首を振って、逃げること数十秒。痺れを切らして、顎を掴んで逃げられなくしてから自分の唇でアリトンの唇を塞いだ。
「んんッ、んぅぅっ」
驚きに目を見開いた、その視線とかち合う。信じられない、冗談じゃない、そう言いたげにくぐもった声が、批難を寄越してくる。青い瞳はまるで、日の光を無理矢理に当てられた深海のように、その奥の心まで晒されてしまっている。
 ごめん、こんなの嫌なんだよな、けれど僕はずっとこうしたかった。やっぱり僕は、両親の言っていた通りダメな兄だったのかもしれない。
 うっかり開けてしまった隙間から、舌を潜り込ませる。ぎくりと強ばった口内で縮こまっている舌を見つけて絡ませると、声も出せずにされるがままになった。
 舌の裏を撫であげ、歯列をなぞって、歯の裏まで擦ってやる。固まったままで力の抜けた体は、もう拘束の必要がない。ゆっくりと手を離して、髪を優しく優しく撫でて頭を抱き込める。舌を上顎に擦り付けると、呻き声が口から響いた。
 狙いをつけて上顎の奥の方を舌で擦ってやると、行き来するリズムに合わせてくぐもった声が溢れてきた。
「んっんっんっうぅっ」
ついに涙を溢れさせた姿に、僕は充足を全身で感じていた。やっぱりこの顔がかわいい。
 背中をびくびくと震わせ、僕を押し返そうとして、けれどもそんな力も込められない。そのせいでまるで絡めて欲しいとねだっているようにしかならない舌が、憐れで可愛らしい。

【口内】





【終わらない】

 ぐずぐずと鼻を啜って涙を拭う、その姿がいとおしい。僕と同じ顔をしているのに、どうしてこんなに僕と違う顔をするんだろう。自分のせいだとはわかっているけれど、不思議でしょうがない。自分の泣き顔は情けないけれど、弟の顔はとてもかわいい。どうしようもないほどに。
「もう、やだっ、いやだ」
子供みたいに駄々を捏ねる姿も、どうしてこんなに僕を煽るのかわからない。
「アリトン、ごめん、嫌だよね、ごめんな」
ひっくひっくとしゃくりあげる、震える肩が強張る。
 髪を撫でると、喉をひきつらせるような悲鳴が上がる。
「や、やだ、やめ、さわるなっ」
「ごめん」
涙を拭うように瞼にキスをすると、しょっぱい筈の味が何だか甘いような気もしてくる。アリトンの流したものだっていうだけでこの有り様だ。
「こわくないからね」
ネクタイを緩めて、シャツのボタンを外す。もう片方の手は、髪を優しく指で鋤く。小さい頃、怖い夢を見たと僕のベッドに潜り込んできた弟によくやった仕草だ。こうするとだんだん落ち着いてきて、割とすぐに寝に入ってしまう。けれども今日は、それでは困る。
 ネクタイを緩めたその手で、アリトンの足を撫でる。ゆっくりと腰に移動して、今度はベルトを外してやると、驚愕で閉じかけた目を覚醒させた。
「な、に」
「大丈夫だからね」
困惑も混ざった目で、色々な色が見える青い瞳は、ただひたすら僕に助けを求めている。
「にいさ、」
「アリトン、僕のかわいい子」
なにもこわいことなんてないのだ。
「今度は一緒に気持ちよくなろうね」
そう言って頬にキスを落とすと、恐怖に染まりきった目から、涙がまた溢れ出した。




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