エドの噛み癖連作(鋼/兄弟R12)
2013/06/13 01:10

そういえば、兄さんはアイスの棒とかシチューを食べてるときのスプーンとかをよく噛んでいた。その度に母さんに怒られて、悪い癖だから直さないとねって頭を撫でられて、ちょっとだけ居心地悪そうに肩をすくませていた。
がりがり。
兄さんの癖が直っていないと知ったら、母さんはため息をつくだろうか。
がりがりがり。
感覚がないボクには痛みもないけれど、このからだに傷が増えるのは嫌だ。見た目が悪くなっちゃう。ただでさえ女の子にモテないのに、さらに怖がらせる原因になりそうなことは極力避けたかった。
がり、がり。
ああ兄さん、汚いんだからそろそろやめて、口をゆすいでおいでよ。それに味とか、まずそうじゃないか。
べろり。

「そんなことない、なかなかイケるぞ。お前」

試すなよバカ兄。

(鎧の弟と噛み癖兄貴)



ボクが痛みを取り戻してから、兄さんは前よりいっそうボクに噛みつくようになった。血が滲んで全身が真っ赤になって、その傷を舌先で抉るようにボクの痛みを引き出す兄さんは、とてもとても楽しそうだ。
多分、兄さんは噛むのが好きなのと同じく、ボクが反応するのが好きなんだと思う。鎧のからだにはそっと触っても、音がたったり気配でしか気付けなかったけれど、今は触れられたらその瞬間にわかる。だから、痛いのもよくわかる。歯型を爪でなぞられると、痺れるようにからだが震えるんだ。

「アル、アル。アルフォンス」

歯型に吐息が当たると、あったかいのがいつもより敏感に感じられる気がする。こういう感覚、好き、かも。

「いやらしい目してる、アル」

兄さんもだよ。
(身体を取り戻してから過敏な弟と噛み癖兄貴)



ねえ、兄さんはもしかしたらボクを食べたいの?なんて聞いたことがある。いや、そういう意味では食べられまくってるから違う、そうじゃなくて。
いつもいつも血の滲む歯型が絶えないボクのからだは、かさぶたで凹凸ができて赤黒くなってしまうほど。でも嫌じゃないんだよ。兄さんに食べてもらえるなら、本当に嬉しい。きっと兄さんとひとつになれたら、たまらなく気持ちいいんだろうな、兄さんと離れずにずっと一緒に。

「やだよ。お前のことは腹には入れたくないぞ、オレ」

ボクとひとつになるのは、兄さんは嫌なの?

「だって食っちまったらそれっきりだろ。一生味わえないなんて嫌だ」

ああなんて嬉しい殺し文句。そうだねボクも兄さんとおんなじ気持ち。兄さんに噛まれるの、ボクは大好きだから。痛いのが好きなんじゃないよ、兄さんに噛まれるのがいいんだ。
でもねえ、兄さん。ボクもたまには兄さんを噛んでみたい。
そう言ったら兄さんは、

「しっかり味わえよ」

って、腕を広げてくれたから。
ボクは真っ正面から抱き着いて、肩におもいっきり歯を立てた。
ああ、食べてしまったら最後だもんね。
兄さん、これからはボクもあなたに歯型をつけてもいいよね?

(ヤンデレ弟と通常運転兄貴)



食べても食べてもなくならない→家出さま

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