蒼*





鐘が鳴る。


「そろそろ‘あの時間’が来たようだね。」


君は今すぐ、そこから離れなければいけない。それは僕のためでも誰かのためでもなく‘君自身のため’だ。嘘だと思うなら、ずっとそこに居ることだね。直に‘彼等’がやってくる。狙いは勿論、君だ。それがどうしてか知りたいなら、君は僕の所に来なくちゃいけないよ。君に今、残されている道は2つ。僕の所に来て、‘生きて’謎を解明するか、‘彼等’に捕まって謎を迷宮入りさせるか…簡単に言えば生と死、どちらかしかない。最終的に選ぶのは君だけど、君は頭が良いってことを祈るよ。
これは、僕に出来る最後の忠告だ。また後で会えることを祈って。




手紙を読んだ後、ベッドから起き上がり、窓の外を眺めた。機嫌が悪そうな空からは、ちょうど雨が降ってきたところだった。(そういえばさっきから鐘の音がうるさすぎるほど聴こえる…)


この手紙に差出人の名は記されていなかったが、心当たりが一人いるということに、気がついた。いや、気がついてしまった。

「…ハジメ?」





嵐の前の静けさ、とでも言うのだろうか。この辺りは本当に静かで、人気もない。風のびゅうびゅう吹く音だけは響いていて、やけに大きく聞こえる。僕は電柱と同じような高さの木に登り、ただただその音に耳を傾ける。あの手紙は、無事に読まれたのだろうか。


「ここで待ってるよ、爽(ソウ)」





2009.xx



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