恋愛Beginner | ナノ


 
手紙の内容は聞いたところいたってシンプルなもので「夕方5時に教室に来てください」とだけ書いたらしい。それだけでも白石くんならわかるだろう。頭も良いしね。

――――――

そんなわけで今にいたる。現在の時刻は4時53分。あと7分しかない。

……しかしなんと言うべきなのだろうか。嘘でしたーって言えば楽だけれどそれは白石くんに迷惑をかけてしまう――というかファンに殺される。
そんな思考を巡らせていると突然、ドアが開いた。
勿論白石くんである。時計を見てみると約束の時間通り。流石だなあ。


『突然呼び出してごめんね。』


そういうと白石くんは少し微笑んで返してくれた。


「別にええよ。何か用事があるんやろ?」

『うん、まあ……でもその前に1ついい?』

「ええよ。」

『……マネージャーに告白されたんでしょ?』

「……何で知ってるん?」

『友達が言ってたから、ね』

「そっか」

『それで、2人は付き合ってるの?』

「付きおうてへんけど」


……付き合ってるって嘘でも言ってくれればよかったのに。ええい!なるようになれ!!


『じゃあ、私と付き合ってみない?』

「え?」


何だか初めて白石くんにみられた感じがした。暫くの沈黙。そして、


「付き合ってみない…か、ええよ。」


なんと思いがけない返事が返ってきた。


『……本気で言ってる?』

「当たり前やん」

『ですよね』


あーあ、もう後戻りは出来ないよな。まあ私が悪いんだけど。ごめんね!白石くん!


『それじゃあ今日は帰るね。部活頑張って』

「おおきに。川上さんも気をつけて帰ってな?」

「うん、ありがとう。」



今日新しく知ったことが1つ。
白石くんが私を知っていたんだということ。


    



 モドル