恋愛Beginner | ナノ



『そういえば、この前の続きなんだけど』

「ん?」

『……どうして私にokしてくれたのかな?』

「川上さんがどうして俺を選んだか教えてくれたらええけど?」


やっぱりそうきたか。ああ、白石くんといるとき唯一困るのがこの時間なんだよなあ。

……とりあえず今はまだ内緒でいこう。


『……まだ、秘密』

「なんや、残念」


聞いた方が残念な気もするが。


『……さて、次はどこに行く?』

「そこのショッピングセンターでええ?」

『……うん、いいよ』


何故にショッピングセンター……。まあいいけど。











『思ったより買っちゃったなあ』

「まさかセールやってるとはなあ」


……知ってて連れていったんじゃないのか。


「そうや、川上さん」

『ん?』

「川上さんのこと名前で呼んでもええかな?」

『うん、もちろん』

「そしたら渚も蔵ノ介呼びな」

『……はーい』


嬉しそうに私の頭を撫でる。ちょ、くすぐったいんですけど。


『あ!そういえば……』

「どないしたん?」

『これ、し……蔵ノ介へのプレゼント』

「俺への?」

『うん、いつものお礼』

「……おおきに」

『うん』

「実は俺からもあったりするやな、これが」

『……うそ、ありがと』

「お互い様や」


私は鞄に小さな箱をしまった。そのあと蔵ノ介が私の手をとって歩きはじめた。


つながれた手がとても温かかった。






  



 モドル