「そんな、彼は12時頃には帰った筈ですよ?」


「奥様、確かに正午くらいに徒歩で帰ると連絡を受けました…」


「ねぇ…何で家の前に鞄だけ?」



彼は、彼のいた世界から消えた


†††††




都会の大きな交差点の真ん中

真っ黒いコートを着た男が
一人立っていた


「………」


大きなビルに備え付けられた巨大テレビが何かニュースのようなものを流し続けている。


〔秋の七草もあるんですよね、例えば“馬酔木”とか***とか……〕




「…馬酔木…」



その男がポツリと言葉を呟いた。


そして男は、
その瞳に闇と狂気を映し出し、
その場から消えた。



彼の去った場所には、血塗れの死体があったという…







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