8
仕事を終え、
部屋に戻った鴫は鵲に声をかけた。
「懐かしい夢を見たんだ」
「うん」
鵲にはそれがいつのことなのか直ぐに分かった。
鴫もそれを分かっているのだろう、そのまま続ける。
「あの時のことを…お前は私に謝ってばかりいたが…」
「うん」
「私はあの日々も嫌いではなかったんだよ」
「そっか…」
「私がお前と死に別れた時…」
鴫は一瞬震えた。
あの時を思い出したのだろう。
「鴫?」
「あの刹那、お前の声が、聞こえた気がしたんだ」
「そう…そっか…」
「だから…寂しくなかったんだよ、鵲」
そう告げると、鴫は鵲の腕の中に、
愛しい人の胸に
飛び込んで行った。
鴫は闇の中にいる。
鵲が寂しくならないように
鵲は闇を纏う。
鴫を失わないように
互いに思い愛し合う
それは永久に続くと信じている
そして、あの不粋な死が
二人を別つことももう…ない
ずっと一緒、死ぬ時も一緒
それが二人の選んだ物語の結末だった。
―conclusion―