7
「…ぎ…鴫?しーぎー?」
懐かしい声にハッとして目を覚ます。
どうやら眠っていたようだ。
「どうしたのですか、水鶏様?」
そこにはローブを着た少年、水鶏が立っていた。
「いや、魘されていたようだったのじゃが、まぁ良いまぁ良い」
水鶏はそう言うと、さっさと部屋から出ていってしまった。
「水鶏様…」
夢を見たんだ。
昔の夢を…
†
あの時、水鶏は鵲と戦った。
とても非現実的で恐ろしい戦いだった。
鴫はただ見ていることしか出来なかった。
段々と鵲が劣勢になっていき、
鴫は見ていることが出来なくなった。
「もう…止めて…」
鵲の前に立ち、水鶏を睨み付けた。
「鴫、どいて!危ないから!!」
鴫は鵲の言葉を無視して水鶏に問う。
「私達はどうしたらいい?私は死んでいるのだろう?しかし、鵲は生きていたはずだ…だから…」
「ふむ、そうさのう…それは後ろの者に問うべきじゃのう」
水鶏は鵲を見ながら答えた。
「元々儂はこやつを保護しに来たのじゃからな、儂はこやつを持って帰るか闇を払うかせねばならんのじゃ。」
鵲は水鶏を睨みながら
「鴫を…鴫がいない世界なら…いらない」
そう言って鴫を抱き寄せた。
「ふむ、ならばそやつがいるなら儂と来るか?」
水鶏は鵲にそう告げると、闇をしまった。
「…そんなこと…出来るのか?」
「無論、儂なら余裕じゃ。何よりお前の力がかなり強いからのう。そして、お前が死ななければそやつは生き続ける。」
鵲は鴫に問いかけた。
「鴫…君を、君を道連れにしてもいいかい?」
「…何だそれは、いつも私はお前に道連れにされてるようなものだろう?」
「ふむ、ならば良し、貴殿らは今日より我が館の住人となった」
そうして、私達は床闇館に住まうことになった。