「…ぎ…鴫?しーぎー?」


懐かしい声にハッとして目を覚ます。

どうやら眠っていたようだ。


「どうしたのですか、水鶏様?」


そこにはローブを着た少年、水鶏が立っていた。


「いや、魘されていたようだったのじゃが、まぁ良いまぁ良い」

水鶏はそう言うと、さっさと部屋から出ていってしまった。


「水鶏様…」

夢を見たんだ。

昔の夢を…






あの時、水鶏は鵲と戦った。

とても非現実的で恐ろしい戦いだった。


鴫はただ見ていることしか出来なかった。


段々と鵲が劣勢になっていき、
鴫は見ていることが出来なくなった。


「もう…止めて…」

鵲の前に立ち、水鶏を睨み付けた。

「鴫、どいて!危ないから!!」

鴫は鵲の言葉を無視して水鶏に問う。

「私達はどうしたらいい?私は死んでいるのだろう?しかし、鵲は生きていたはずだ…だから…」

「ふむ、そうさのう…それは後ろの者に問うべきじゃのう」

水鶏は鵲を見ながら答えた。


「元々儂はこやつを保護しに来たのじゃからな、儂はこやつを持って帰るか闇を払うかせねばならんのじゃ。」


鵲は水鶏を睨みながら

「鴫を…鴫がいない世界なら…いらない」

そう言って鴫を抱き寄せた。


「ふむ、ならばそやつがいるなら儂と来るか?」

水鶏は鵲にそう告げると、闇をしまった。

「…そんなこと…出来るのか?」

「無論、儂なら余裕じゃ。何よりお前の力がかなり強いからのう。そして、お前が死ななければそやつは生き続ける。」

鵲は鴫に問いかけた。

「鴫…君を、君を道連れにしてもいいかい?」

「…何だそれは、いつも私はお前に道連れにされてるようなものだろう?」


「ふむ、ならば良し、貴殿らは今日より我が館の住人となった」


そうして、私達は床闇館に住まうことになった。




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