「ぜー…はー…あー、しんどっ」

息苦しいまでの光と人間から逃げて
静寂の闇の中でやっと息をついた馬酔木は

―懐かしい場所に来たもんだ―


もう随分昔のように感じるが、
馬酔木が床闇館に来たのは
こちらの時間では半年かそこらだ。

―あの頃も起きてからずっと息苦しい光から逃げて逃げて、ここに辿り着けた―


ぼーっとそんなことを考えていたら、いつの間にか足が痺れてきた。

何で足?と思って下を見ると…

「ね、猫…?しかも…」

馬酔木の膝の上には4匹の子猫がのっかっており、手元には母猫らしき猫がいた。

「にぃにぃ、にゃあにゃあ」

「な、何だ?…何もないぞ?」

猫は鳴きながら馬酔木の膝上でじゃれ合っている。


「…はぁ、まぁ…いいか…」


闇に身を任せ、馬酔木は目を閉じた。




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