5
「ぜー…はー…あー、しんどっ」
息苦しいまでの光と人間から逃げて
静寂の闇の中でやっと息をついた馬酔木は
―懐かしい場所に来たもんだ―
もう随分昔のように感じるが、
馬酔木が床闇館に来たのは
こちらの時間では半年かそこらだ。
―あの頃も起きてからずっと息苦しい光から逃げて逃げて、ここに辿り着けた―
ぼーっとそんなことを考えていたら、いつの間にか足が痺れてきた。
何で足?と思って下を見ると…
「ね、猫…?しかも…」
馬酔木の膝の上には4匹の子猫がのっかっており、手元には母猫らしき猫がいた。
「にぃにぃ、にゃあにゃあ」
「な、何だ?…何もないぞ?」
猫は鳴きながら馬酔木の膝上でじゃれ合っている。
「…はぁ、まぁ…いいか…」
闇に身を任せ、馬酔木は目を閉じた。