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「これは…一体何が?」



鴫先生の

不機嫌かつお怒りの言葉が

静かに医務室に響き渡る…



重苦しい空気の中


椎は少年が意識を取り戻し、闇が払えたかを確認してから阿相達に少年の身柄を引き渡した。
そしてようやく床闇館に帰って来た…のだが、


「に、兄さん…これは?」


いつの間にか正座していた自身の片割れを見てほっとしたのも束の間、馬酔木の眠るベッドの横で正座させられている皆を見て困惑した。

ラナンキュラス、水鶏、白樫、山茶花は皆静かに正座している

「椎!!!」

「ふぁっふぁいっ!!!」


突然鴫に呼ばれ、気をつけーっ正座!になった椎を笑う者もおらず、そんな椎の様子に鴫先生のお怒りもピークを過ぎた様子だ。


「椎、白樫。一体何がどうなったら馬酔木はこんなに弱る?一歩間違えば本当に命を落としていたぞ…」

鴫は最後の方の語気は弱めていたが、それは事実なのだろう。
現に未だに馬酔木は意識が戻らない。


「それについてはのぅ…わしが話そうかのぅ。」


不意に水鶏が立ち上がり、馬酔木のベッドに腰をかけると説明を始めた。


「まあ簡単に言えば精神攻撃じゃな、何かまやかしを見せられたのじゃろう。こやつは精神が脆弱だからな…漬け込まれて潰される筈が、こやつの場合穢れによる精神汚染により暴走してしまったのじゃろうて。」


「なるほどね、彼は穢れた闇で暴走して人殺し扱いまでされてたんだもんね」


水鶏様の説明にラナンキュラスや白樫は理解した様子だったが、椎は?マークを頭に浮かべながら足が痺れて立てなくなっていた。


「ああああしし…痺れた…で、馬酔木は大丈夫なの?」


「ふむ…まぁ、どうにか…」


―バタンっ

椎が悶絶している中、鴫先生のお言葉を遮るように医務室の扉が開いた。


「馬酔木は?!!」


そこには全力疾走してきたであろう祐とそれを追ってきた鵲がいた。


「祐…お主…」

「ごめんね、水鶏。祐には伝えるなと言われてたけど、彼は気付いてるみたいだったから伝えたよ。」


鵲が苦笑いしながら水鶏に謝罪する。

水鶏は渋い顔で頷いた。



「水鶏様!馬酔木…馬酔木は平気なの?」

「祐、あまり騒ぐな。」


鴫は祐を諫めるが、こんなに切羽詰まった祐を見るのは初めてではないかと内心感じていた。



「馬酔木…」


祐はベッドに眠る
酷く衰弱した馬酔木を見て
涙が溢れそうになった


―つぅっ



その涙が彼の頬を伝う





そう、正にその瞬間!!


衝撃の出来事がっ!!!!



―ガバッ


「泣くなっ!祐っ!!」



祐の涙を拭いながら

馬酔木が起きましたとさ。


そんなんありですかー?
(祐の為なら何でもありが馬酔木です)



「馬酔木ー!大丈夫?大丈夫なの?」


「泣くな祐、俺は大丈夫だから…って、ん?何だ?…俺は何故ここに?」


状況が把握出来ず困惑する馬酔木と馬酔木に抱きつき喜ぶ祐


その目の前で

あまりの…

本当にあまりのことに
皆一様に目が点になるなか


山茶花の史上最大規模の


「ありえなぁぁぁぁぁあいっ」

の絶叫が響いていたという…


「責任者呼んでこいっ!」

「あり得ないよっ!オチが酷すぎだよっ!!」

椎と白樫は脱力してしまい2日程寝込みましたとさ☆


‡第4章終幕‡


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第5章
はじめましてのmisfortune


馬酔木の天敵現る?!
女子高校生はお強いの!!







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テーマ「人外ファンタジー」
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