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「アアァァァァァァァ!!!」
「馬酔木?!」
「ヤバい、暴走しかけてるよ!」
2人は突然の馬酔木の暴走に驚いていた。
馬酔木が子供の闇による攻撃を受け、動かなくなったと思ったら突然絶叫し出して闇が暴れ出した…
少なくとも彼らにはそのように映った。
―何故なら馬酔木の感じていたあの長い長い時間は
彼らにはほんの数分でしか無かったのだから…
「あはははは、楽しいね!ほらね!大事な人がいなくなればこんなに弱いくせに!僕ばっかり責めるから!あはははは、思い知ればいいんだ!!」
子供は楽しそうな笑みを浮かべてはしゃいでいる。
自分の不幸を悲しみを
馬酔木にも与えてやったと
彼は楽しそうに笑っている
し か し
その表情はすぐに凍りついた
「あっ…え?」
一瞬にして子供の周りの
闇が掻き消された
「………消えろ…」
虚ろな瞳の馬酔木
闇は淀み、病みはじめる
「ふふ…皆…ふふふ…消えろ…闇の中に…」
邪悪な意思のこもった闇
子供のまわりにあった闇は
馬酔木の闇に呑まれた
‡‡†‡‡
「ヤバい…兄さん!水鶏様呼んできて!!」
「でも、椎!」
「このままじゃ兄さんも呑み込まれるよ!!!」
椎は兄に向かって叫び、床闇館への通路を白樫の目の前に作る。
白樫は椎の闇から生まれた
このままでは確実に白樫まで
巻き添えを喰らってしまう
それでは意味がない
それに何より
椎にはそれは耐えられない
「…くっ、無茶しないで待ってて!」
白樫も椎の判断は正しいと自分に言い聞かせて通路を抜けていった。
「…うん…待ってるよ、兄さん」
今回の依頼も
難しいものではない
筈だったのに
椎の声は小さく小さく
闇に消えていった