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「そう…それは良かったわ、えぇ、えぇ、大学とか就職の手続きくらいは私がやっておくから平気よ〜うん、はいはい、じゃあね〜」
―カチャン
受話器を置くと、李は楽しそうに机に向かう。
「何やら良いことがあったのかえ?」
いつの間にかソファーに小さな人が座っていて、こちらに声をかけてきた。
「あら、水鶏様ったらいつの間に?」
「今さっきじゃ、わしも仕事が一段落したのでな〜」
「そう、こちらも終わったみたいよ。しかも、うちに職員が増えることになったの♪」
李はニコニコしながら霊慈がこちらに就職するために必要な書類を作成し始めた。
「そうかそうか、色々と上手くいって良かったのぅ、ほっほっほ」
「ねー☆しかも、今回は馬酔木ちゃんが大活躍だったみたいで加藤は初めて見た闇払いに大興奮で阿相は少しジェラシーだったみたいよ?」
どうしましょうね、とクスクス笑いながら李は水鶏を見る。
「馬酔木が大活躍か…ほほっ普通に想像出来ないのが笑えるぅ。しかし、奴も成長したと言うことかのぅ?」
「そうね、人は皆成長していくわ。良くも悪くもどう育つのかは、自分の意志次第だけどね?」
「過ちは正せばいい、傷はいつか癒える。結局成長なんてものは過去に囚われ過ぎずに歩き続けていればいずれ勝手に着いてくるもんじゃ。」
「そういうものよね〜」
二人は、若き彼らの今後を
幸多き人生であれ
と願ったのだった。
‡next storys…‡
第四章
抗えぬmurderimpulse
脆きreason
(抗えぬ殺人衝動と脆き理性)