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―グイッ


「えっ?」


馬酔木は俯いていた霊慈の腕をとるとさっさと歩き始めたのだ。


馬酔木に放置された女達はギャイギャイ言っているが、馬酔木には関係ない。

しかし、また目の前に障害物よろしく立ちはだかる彼女らに霊慈はビクッと震えた。

その女達の態度と霊慈を余計怯えさせたことに苛立った馬酔木は、毒を吐き捨てた。


「煩い女共だ…大体、貴様らはさっきからいた癖に手伝いもしない、人が困っているのに助けないような俺以上に性根の腐った人間の相手をするなんて真っ平ごめんなんだ。それに、個性も何もない顔に服装、どれが誰だか分からない上に化粧が臭い。鬱陶しい、目障りだ、貴様らに用なんてないからさっさと消えろ。」


抑揚の無い淡々とした声で捲し立てられた女達は真っ青になってその後真っ赤になって

「あんたなんか端から眼中にないし!」

とか捨て台詞を吐きながら走っていった。


「馬酔木があんなに喋ってるのを初めて見たなぁ…ね、兄さん?」

「うん、初めて見たね。祐とはあれくらい話すのかな?」


そんな風に暢気に喋る二人を阿相と加藤は“いいのかそれで”と言わんばかりに見ていた。

いいんです、馬酔木ですから。




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