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ポカーンとした顔のままの二人(人+霊)を放置して、馬酔木は霊慈の後ろにいるものたちを見た。
優しそうな顔をしたものもいれば、明らかに悪さをしそうなやつもいる。
それにしても数が半端ない。
しかし、彼らに取り憑かれているのは霊慈が弱いからではなく、彼が優しいからであることを馬酔木は認識した。
後で阿相たちに伝えておかなくてはいけないとか、
これは祐風に言うならオバケパラダイスだな…とか、
わりと暢気なことを考えていた。
すると、突然馬酔木の目の前から霊慈が消えた。
否、正確に言うと馬酔木と霊慈の間に割り込む人がいた、のだ。
「あのー、あなたってぇ、そいつの知り合いなんですかぁ?」
香水やら化粧品の匂いがキツい似たような顔をした女が3人馬酔木の目の前にいた。
馬酔木はその女達の匂いに眉を寄せた。
そして、霊慈の方を見た。
霊慈は怯えているような悲しいような顔をして俯いていた。
「だから何だ?」
不機嫌そうに女逹に返事をしながら馬酔木は霊慈の表情を見て気付いていた。
彼がその能力故に辛い目にあってきたこと
そしてその苦しみが
今も続いているのだということに…
そう認識した瞬間、
馬酔木は行動を開始していた。
ちょうど椎達も追い付いたらしく、馬酔木の行動に慌ててまた動き出した。