「馬酔木はどう思う?」

先程から黙りこくってうつ向いている馬酔木に白樫が声をかけた。


「…闇…」

「やっぱり…闇なのか?」

馬酔木がポツリと答えると、阿相が忌々しげに馬酔木に聞き返した。


「そいつに憑いている霊のどれかに…闇がついて…それが周りの霊にも感染して…大きな悪霊になる…」


馬酔木は闇を特定できたらしく、大して慌ててもいないようである。


「じゃあ、彼は助けられる?」

加藤に聞かれて、それに頷く。

「ただ…」

馬酔木は少し悲しげな顔をして話し出した。


「…力は強い…なのに自分は弱いと思ってる…から、付け入られる…だから…力の使い方と自信…が必要だ…」

馬酔木は加藤と阿相の方を見ながらそれだけ言うと、路地を抜け、彼のいる大学に向かって歩き始めた。


阿相と加藤は顔を見合わせたが、椎がそんな二人の肩を叩いた。


「馬酔木は加藤と阿相にその彼に力の使い方と自信を教えてやってって言いたかったんだよー」

「そうみたいだね?」

そして、椎と白樫は呑気に馬酔木の後ろを追いかけ始めて、ようやく阿相と加藤も慌てて彼らを追いかけ始めたのだった。




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