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「今回は少々特殊なケースで、此方も困っているんですよ。」
人気の少ない路地裏に入ると加藤がファイルを開いて説明を始めた。
そこには陰陽師である阿相により結界が張られており、普通の人は入れない空間なのであった。
「特殊?闇が憑いている以外に何かあるんですか?」
白樫に聞かれて加藤が続ける。
「はい、今回は本来なら我々の領域なんですよ。名前は安藤霊慈、○○大学に通う学生です。彼には霊が取り憑いていて、その数が半端ないんです。」
「たださ、守護するものも憑いてるみたいだから、本人自体はそんなに悪霊の影響も受けないみたいで…たまに乗っ取られかけても多分あいつ除霊もできるみたいなんだよな〜」
阿相が何とも言えないとぼやく。
「それで、彼には此方での除霊は必要ないと判断していたんですが…最近になって悪霊に取り憑かれたように豹変するようになったんです。それで、阿相が祓ったんですが…効果が無かったんです…」
「しかも、本人はその豹変している間が抜けてるみたいで周りの霊も多分気づいてねぇの!だから厄介なんだよな〜」
阿相がお手上げ!と言って悔しそうに手を挙げている。
「なるほど☆それで、もしかしたら闇がついたかも?ってことだね!」
椎が笑いながらそう言うと、阿相が「あたりー」と不服そうに頷いたのだった。