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「ドタバタしてしまったけど、馬酔木ちゃんについては今後また検討しましょうね?」
夕方になり、闇が活性化したことや先程の暴走で馬酔木の状態が悪化したので今日のところはお開きという形になった。
「恩に着るのじゃ。まぁ、またしばらくは椎と白樫だけを派遣することになるじゃろう。よろしく頼むぞ?」
「えぇ、こちらこそ!」
ニコリと微笑む李に満足そうに頷くと、水鶏は皆に軽く挨拶を残してふわりと闇に消えて行った。
水鶏の帰っていったあと、すぐに加藤は馬酔木に声をかけた。
「あ、あの…」
「……?」
闇に纏わりつかれていまいち身体が動かないらしいある意味痛ましい(笑)馬酔木の様子を見て、加藤が苦い顔をする。
“こんなに体調の悪い人に俺はあんな酷いことを…”
そして単純明快な加藤は直ぐに行動に出た。
「あの、何か俺…すみませんでした。」
加藤は馬酔木の前でしっかりと頭を下げて謝罪をした。
が、しかし…
加藤が頭を下げてからの
しばらくの沈黙の後に
「…プッ…くく…あーっははははは!」
阿相と椎の笑い声が響いた。
加藤は何故笑いが出たのか分からずにキョトンとしているが…
理由は簡単!
馬酔木の反応が面白かったからだ。
「…くっ…あの…ね、いやぁ、馬酔木があんな反応するとは思わなかったから…くすくす…」
なんと白樫ですら笑っている。
当の馬酔木は真っ赤になってしまって下を向いている。
「ププッ…いやっ、馬酔木ったらさ〜、加藤君が頭下げた瞬間にスッゲー目を見開いたかと思ったら〜、慌て出して挙動不審になって困った挙げ句にうつ向いちゃったんだよ☆かぁいいよねー……ッッゲフッ!!!」
そして、椎は説明役を買って出たため
馬酔木の餌食になりましたとさ(笑)
「え〜っと…あの…馬酔木…さん?」
状況は分かったが、結局馬酔木はどうしたいのかが分からないため、加藤は意を決して声をかけた。
すると、うつ向いたままで返事があった。
「…呼び捨てでいい…」
「あ、あぁ…で…えと…」
「…すまなかった…俺が悪い…から、驚いた拍子に…その…いや、だから…あんたは気にしないで欲しい…」
馬酔木はそれだけ言うと白樫の後ろに隠れてしまった。
白樫がそんな馬酔木の背中を軽く叩いて誉めてやっているのを、椎が和みとジェラシーの目で見ていたとか。
加藤は頭上に?を飛ばしつつもとりあえず謝罪が通じたことを素直に喜ぶことにしたらしい。
「フフッ、素敵ね〜友情って☆」
「あれは友情か〜?」
李と阿相はそんか不器用過ぎる二人に微笑ましさを覚えていたのであった。