「ところで、本日はどのようなご用件で?」

鴫は、馬酔木のカルテを書きながら、山茶花と呑気に茶を飲む白樫に問いかけた。


「えっと、あ〜、いえ…ははは」

ギクッとした白樫の反応で鴫は大体を察したようで、白樫にスパッと告げた。


「1週間は外出禁止です」

「うっ…やはり…ですか?」

白樫は図星かつスッパリと斬られてしまい、それでもどうにか食い下がる。

しかし、そんなん鴫には効かないのだ!


「駄目なものは駄目です」

「そこをなんとか!!!」

「くどいっ!!!」


白樫はどうにかせねば…と考えを巡らせる。
しかし、どうあがいても鴫に勝つ術なんて出てこない!


その時、もぞもそと馬酔木が動いた。
そして、蚊の鳴く様な声で何事か呻いた。


「…う…さ……ん…にぅ…ん…」


白樫と鴫はウルサイと言いたかったのだろうと思い、声を潜めながら更に言い争いを開始した。


しかし、次の瞬間

―バタンッ!!


「馬酔木〜!うさちゃんと猫ちゃんと???ちゃん持って来たよ!!」


祐が勢い良く医務室に入って来て、
馬酔木のベッドにファンシーなぬいぐるみ達を次々並べていった。

これには冷静沈着な鴫も目を見開いた。


「祐…それは?」

「馬酔木がぬいぐるみ欲しそうだったから持ってきました☆」


以心伝心テレパシスト祐!!(馬酔木限定)


「はは、いくら何でもまさか…ね?!」

白樫は祐の言ったことはちょっとした冗談だろうと思いながら馬酔木を見た。
そして、目の前の光景に驚愕し、鴫同様に目を見開いた。


馬酔木はその見た目やら普段の言動からは考えられないくらい普通にぬいぐるみを抱きしめていた。


7万あり得なーい!!!
(過去最高)



「馬酔木、三匹で良かった?」

「ん…ねこ…は、白が…良かった…でも…三毛でいい」

「そっかぁ。でも、他の子はお部屋にいるからね?」

「ん…祐…ありがとう…」

「うん☆」


そんな驚愕台風の中、当の馬酔木と祐は普通に話していた。

実は祐以外は知らなかったが、馬酔木の部屋は、ぬいぐるみ一杯のとてもファンシーな部屋なのだ!

後の鴫の分析によると、精神的に不安定な為残虐性と幼児性が隣り合わせな状態であり、その為に食事はしない自傷行為はする癖にファンシーなお部屋で寂しがり屋とか、何か凄くアンバランスかつ難儀な性格になってしまったらしい。


「じゃあ、うさって…うさちゃんだったんだね…」

白樫は苦笑いするしか無かった。

その後、鴫先生の気が少し抜けた為交渉の結果3日後の外出許可が出たのであった。




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