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「…あたし…」
凛華が目を覚ますと、そこは暗い路地裏であった。
「何してんだろ、あたし…こんなところで…こんな格好して…」
不意に涙が溢れてきた。
綺麗に着飾って、周りに合わせて
夜の街できらびやかな仕事して
「何も…あたし何も…」
「そう、貴女は何も得られなかった」
不意に、頭上で声がした。
凛華が顔を上げると、そこには物腰の柔らかな男性が立っていた。
「…貴方は?」
「私は白樫と申します。こんな時に大変申し訳ないのですが…貴女には逮捕状が出ていたのです。」
白樫という男性は、本当に自分のことを心配してくれているのであろうことが伝わってきた。
そして、先程までのことを思い出した。
「はい…分かってます…あたし…人を傷つけたから…」
今までのことだってそうだ。
闇のせいにしたって、結局は私が望んだことだったから、言い訳はしたくなかった。
凛華の目に、光が戻った。
その後、白樫という男性に警察まで送って貰い私は…罪を償うことになった。
だけど、私は…
私の心は…
あの頃とは違い、
とても晴れ晴れとしていました。
そして昔夢見た自分を
いつか手にいれよう
そう…願いました…