「さて、椎は準備出来たかい?」

「OKだよ兄さん☆」


白樫と椎は、端から見れば別段何かを準備したようには見えないだろう。


しかし、闇者からすれば…


「椎から闇…が、白樫に?…何故?」

馬酔木から見れば椎から出る闇が白樫にまとわりついている様に見える。

寧ろ、白樫が吸収しているようにも見える。

すると、白樫が少し悲しげな表情で馬酔木に告げる。


「馬酔木にはきちんと話をしていなかったね…私はねこの世にきちんとした生を受けた存在では無いんだよ。」


「それは…どういう意味…だ?」


馬酔木が怪訝そうな顔をする、と同時に椎が声を上げる。


「兄さん、その話は後!何か様子が変なんだ!!」



白樫が馬酔木に「後で必ず…」と言いながら椎に走り寄って行った。

馬酔木もその後を追いかけて闇を走らせた。


「暴走しかけとるのう…」

「暴走寸前だねぇ」

「二人とも呑気に言わない!」


―ポカッポカッ!


呑気な椎と水鶏様に白樫の鉄拳が飛ぶ




「…原因は…仕事と…惨事…募る闇…」


不意に馬酔木が口を開いた。

馬酔木には見えたようだ、この闇の深淵が



「ほう…全容が見えたのか?」

これには水鶏様も少々驚いていた。



―こやつ…やはり闇孕みじゃな…―



水鶏は馬酔木の存在が不安定であり、馬酔木と言う存在そのものがあまりに異質で愚かなものであることを知った。


「では話してみよ、あの女の顛末を…」


水鶏に促されるままに


馬酔木は語り出す


悲しき闇の深淵を…悲しき心の奥底を…







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