―ざわ…ざわ…


馬酔木にまとわりつく闇



「何これ?」

「む、いかんな…ほれっ!」



―ポカッ☆


「ぐぅっ?!」


水鶏が不意に馬酔木の頭を叩いた。


すると、あっという間に

闇は馬酔木から離れていく。


「闇が…馬酔木から退いていく?」

「暴走するな、このたわけが!!」



「…暴…走…あぁ、そうか…此れが…」


馬酔木は呆然としながらも、この感覚に覚えがあった。


―自分が人を殺す時の感覚―



「そうじゃ、お前は闇憑の闇に反応して暴走していたのじゃ。」



「そんな事が…」

「普通は無いよね?」

椎と白樫が口を挟む。



本来そんなことあってはならないのだ

相手の闇に触れるということは

相手の心を読むということであり


普通なら困難なことなのだから



「それで殺した…のか?」

馬酔木は自分の起こした行動の意味を悟ったようだ。


「そうじゃ、闇憑の闇から逃れる為に。」


「じゃあ、馬酔木の起こした殺人は?」



「ほとんどは闇憑殺しじゃ。時たま勝手に暴走していたようじゃがな〜」


「そうか…そうなのか…」


馬酔木はそう口にしながらも、今まで人を殺していた事を全く気にしておらず、寧ろ今の敵である闇憑の気配が気になっているみたいである。



「全く…どうしょうもない奴じゃ。今度からは殺さずに闇だけ祓うのじゃぞ?」


「…どうやって…」


馬酔木は面倒だという顔を露骨に表情として露にしている。

その顔には「そんなもの殺せばいいじゃないか、馬鹿かこいつ?」という心が読めるくらいだ。




「この戯けが!!!」


―ポカッ☆


馬酔木がそんな物騒な事を考えていると、また音の割に意外と痛い水鶏様チョップが馬酔木に炸裂した。


「つっ…」


馬酔木だって人間?だから、痛ければ涙ぐらい出るのです。


今のは結構痛かったみたいです。



「結構痛かったんだね」

「あれかなり痛いんだよね」


椎と白樫が何とも言えない眼差しで馬酔木を見つめていた。

因みに椎は喰らった事があるので、白樫も痛みの度合は解ってるのでした。


「ほっほっほ」

水鶏様だけが上機嫌に笑っていたのであった。




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