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―●●区△△ビル屋上―
「ふぅ、やっと来たね〜」
「ごめんね兄さん、鴫先生が馬酔木にドクターストップかけててさー」
「へぇ、それでよく連れてこれたね!」
「それはねー、なんと!本人が行くって言ったからなんだよー♪ねー馬酔木☆ってうぎゃぁ?!」
椎が後ろを振り向くと、其処にはもう体力を使い果たしたらしく
屋上の床と仲良くなってしまった馬酔木がいたのであった。
(要するに闇切れ、倒れた)
「…ここ…キモチワルイ…」
馬酔木は真っ青になり小さくうずくまる。
「まぁ、仕方無かろうな。近くに闇者が居るのじゃから。」
水鶏様は至って冷静である。
そして、自身はフワフワ浮かびながら言葉を続ける。
「さて、話を始めるとするかのう?」
そして転がる馬酔木はスルーして、水鶏様は話を始めた。
「さて、今回の仕事は闇憑を祓うだけじゃ。まだそこまで暴走もしとらんし、多分楽なんじゃないかのう。どうじゃ、白樫?」
「そうですね、難易度で表すのはどうかと思いますが…そこまで手こずりはしないはずです。」
話を振られた白樫は、馬酔木を抱き起こしつつ水鶏様に言う。
「今回の敵さんのお名前は凛華さんかー、キャバクラで働いてるんだ、凄いね!」
そこに、話に割って入るように椎が調査ファイルと書かれた書類を読みながら声を上げる。
その言葉に水鶏は馬酔木を見る。
「ふむぅ、夜の街を生活の生業にしている者には闇が寄りつき易いからのう。馬酔木、お前もそうじゃったろう?」
突然話を振られた馬酔木は、少し考えながら口を開く。
「…さぁ?俺は…闇の中じゃないと生きられないのは確かだが…まぁ、光はあまり好きじゃ…ないが…別に…平気…だが…」
馬酔木はぐったりとしながら更に考える。
まとわりつく闇を払いのけながら
それでも自分は
こんなに仄暗い闇の中でも
息をしていられるのか…
光は眩しすぎて苛々すると言うのに
馬酔木の意識が墜ちる
墜ちる闇の中から何かが見えてきた…
「…壊滅…拒絶…虚勢…限界…屈辱…」
馬酔木の精神が闇に堕ちる時、
其の闇はざわめき出す。