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朝が来る夜が逃げる
朝が逃げる夜が来る
繰り返されるその営みから外れ
偽物の太陽と月を与えられ
ワ タ シ ハ
世 界 から 隔 離 された
しかし其所は穏やかで
そうしてここに来てから数週間が経過した
―馬酔木と祐の部屋―
「馬酔木!もう10時!起きてよ〜!」
水鶏の計らい?で、何故か同室になった祐は馬酔木を呼び捨てで呼ぶ様になり、馬酔木もまたこの館の者逹に慣れて来ていた。
「…もう少し…後12時間…」
「待って!!完全に夜になっちゃうよ?!!」
最近はそんな馬鹿げた会話も出来るようになった。
そんな自分に馬酔木は驚いている。
―こいつにはそういう力があるんだろうか?
落ち着くというか…
いると安心するというか…
「あ〜し〜び〜」
あ、真面目に怒り出した…かも?
馬酔木はそ〜っと目を開いて祐を見ると、
怒った祐の顔とそして右手には…
おにぎりが握られていた。
「ややや、やめろ!!早まるな祐!!!」
「だ〜め〜!!こうなったら意地でもご飯を食べさせてやる〜〜!!(半泣)」
因みに馬酔木は館に来てからの数週間、何も食べていない。
水も嫌嫌飲んでいる。
その為、点滴で命を繋いでいる感じ(笑)
「馬酔木!!覚悟ぉぉお!!!」
「ぎっ…ぃゃぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
朝から馬酔木の断末魔が床闇館中に木霊したのだった。
場所は変わって医務室。
「…で?」
「す、すみませんでした」
祐による
無理矢理だけどご飯食べてね大作戦☆
は、馬酔木の自殺企図と失神と嘔吐により無惨にも失敗に終わったのだった(笑)
「死んでやる…ぐすっ…」
ベッドには、抑制され鎮静剤を射たれ現在点滴を落とされている哀れで無惨な馬酔木が居た。
「鴫、祐をあんまり責めないであげてよ〜」
「…鵲さ〜ん(泣)」
鴫に叱られる祐に助け船を出したのは、床闇館で料理長をしている鵲だった。
鵲と鴫は古くからの知り合いなのである。
だからこそのこの言葉!(by椎)
「祐も悪気は無かったんだしぃ〜ね?」
「…以後気をつけるように」
「は、はい!!!!」
「良かったね〜、祐」
鴫先生も鵲や祐を相手にしてる程暇ではないらしい。
(馬酔木のせいで)
ただし、鵲が寂しそうに鴫先生を見ていたのは祐の気のせいでは無いのでした。
「馬酔木はおるかの〜?」
「今いません。」
ズバッと嘘つく鴫先生
面倒臭い事になりそうと鴫の勘が告げている。
今いると言えば点滴本数が確実に増える気がする。
「しかめっ面しながら嘘をつくのじゃない、全く!」
水鶏様プンプンです。
鴫先生と言えば、どうでもいいというお顔をしています。
本当に度胸のある方だ(笑)
「じゃあご用件をどうぞ?」
「仕事じゃ」
「来週にして下さい。」
「今すぐじゃ」
「一昨日来て下さい。」
「だから今すぐじゃ」
「もう来なくていいです」
二人の後ろに龍と虎が見える、そんな状態のまま言い争いは続く。
「…」
「あ、馬酔木が起きた!」
祐はムクッと起き上がった馬酔木の元に駆け寄る。
「祐か…ん?何の騒ぎだ?」
ようやく正気(笑)を取り戻した馬酔木は、目の前で繰り広げられる戦いに…
さして興味は無かったのだった。
―完―