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その後順調に傷の手当てを済ませ、鴫が点滴を用意していた時だった。
「あ、馬酔木ちゃん起きた〜〜☆」
山茶花が不意に声をあげ、鴫を自分の後ろに庇うようにしながら臨戦体勢をとる。
何も水鶏様がいなくなってる間に起きなくたって!!
椎と白樫は心の中で嘆きながら馬酔木の前に立った。
しかし馬酔木はぼーっとしている。
「……ここは何処?」
キョロキョロと辺りを見回しながら困った様な顔をしている。
鴫は山茶花を退かし馬酔木の前に立つ。
「ここは床闇館という所だ」
「…お医者さん?病院?……お注射?」
馬酔木は鴫を見ながら腕をそっと隠そうとする。
どうも先程椎達に見せた態度とは違うようである。
「そうだ、点滴をするから腕を出しなさい」
鴫にそう言われるが、馬酔木は首を振って腕を隠そうとする。
椎と白樫はといえば、顔を見合せながら水鶏を呼ぶべきかどうか悩んでいた。
「…やれやれ」
注射を嫌がり啜り泣く馬酔木を宥め、点滴を落とし始める頃には馬酔木は寝息をたてていた。
「どうなっているのでしょう?」
白樫は鴫に尋ねた。
「さあな、多分精神的に色々とありそうだからそれのどれかだろう。」
「色々って…」
白樫はこれからの事を考えてため息をつくしかなかった。
因みに椎は椅子に座りながら山茶花と点滴の落ちるのを見ていた(地味)