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―ガタンッ
「…ひっっ!!」
声をあげたのは馬酔木だった。
馬酔木は突然怯えた声を上げ、ベットから落ちたのだった。
「ふむ…どうかしたか?」
「ぁ、あぁ…ぁ…ぉ、お前…の……」
「なっなっ何事?!」
「馬酔木君?水鶏様?!」
馬酔木の突然の狼狽ぶりに椎と白樫は驚いていた。
しかしその理由を教えてくれる者はない。
そんな中、馬酔木の顔色はどんどん青ざめていった。
「な…その…くら…ぃ……ゃ……」
震えながら絞り出した声は
意味を成さず
そこで馬酔木の意識は途絶える
彼は堪えられなかった
彼の者の後に拡がる漆黒の闇に…
「馬酔木?」
椎が覗き込んで見るが、気絶してしまっているようでぐったりと倒れている。
白樫にはこの答えが解ったようで水鶏の前に立った。
「水鶏様!」
「何じゃ?儂は何もしとらんぞ!」
「いいえ!水鶏様がお力を制御し忘れたのが原因です!!!」
「あれしきに耐えられん奴が悪いのじゃ!!」
「普通、ましては彼の様な精神状態の者には耐えられぬ事くらい分かっているでしょう!!大体水鶏様は…」
白樫と水鶏の口論が始まってしまった。
「こりゃ長いな〜…よっと!」
椎はベットから落ちた馬酔木を戻してやり、ベットに腰かけて二人を眺めながら一人呟いた。