それをぼうっと見送っていたせいで残りの二人の存在を失念していた。

両腕を捕まれてしまうまで…


「な…っ!!放せ!何を…っざけんな!!!触るな!放せっ!!!」


「細っ!兄さ〜んこれ細過ぎじゃない?!」

「全くだ…しかし、凄い力だな」
「うんうん、あ〜もう!!動かないでよー!!!!」


「触んな!!放せ!!放せーー!!!」


俺はこの得体の知れない奴らに恐怖を覚えた。
何処に連れて行かれるか分からない、殺されるとか暴行されるとか、そういう恐怖じゃない…


自分の運命を決められるかの様な、神の前に立たされている様な

……畏れ……



「…気絶してしまったようだな?」

「どうしたんだろね?まぁ、運び易くなったからいいけど☆」


こうして意識を手放してしまった俺は、得体の知れない奴らによって今までのあの俺だけの世界から引っ張り出されてしまった。

得体の知れない世界へ…



アノ闇ニハモウ戻レナイ


恋シイ孤独ノ闇ニハ…


運命ガ動キ出シタ



‡渇望‡序幕完




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