王子様と日差し
降り注ぐ日差しを嫌うように白い手のひらが影を作る。
それでも、指の隙間から白い肌を差す微かな日差しに藤崎深宮の整った顔が歪んだ。
「おいおい、せっかくのデートだってのに何て顔してんだよ」
手のひらに代えて腕をかざした深宮の背後から笑みを含んだ声がかかる。
「眩しすぎると思わない?」
返された言葉に深宮の元へ歩む足を止めてL―高坂桔梗は照りつける太陽を見上げた。
何と言うことはない。
環境汚染の影響が騒がれてはいるとは言え。どこにでもある、それもごく普通の快晴だろう。
それに太陽の光には生理学的にも気分を良くする働きがあると聞いたこともあるのだが。
それが眩しすぎる、なんて。
「まるで吸血鬼みてぇだなぁ」
くつくつと愉しげな笑みを浮かべて。
「灰になっちまう前に、日陰に避難でもするかい?」
ヒラリ。
桔梗はその手を差し伸べた。
とある日のデートのひとこま。
藤崎さんは日焼けとかしなさそうですねえへえへ
2012.05.18