私は最近よく想像をしているような気がする。
我々の志が叶えられた世界を・・・
みなが明るく過ごせる世界を・・・
そして、かえさんとの未来を・・・
いままで、私は志以外のことに惑わされることはなかった。
しかし、かえさんが私の目の前に現れてからというものどうもいままでとは違う。
それだけ彼女の存在が私のなかで大きくなっている。
かえさんとの未来・・
茜色したあたたかな風景の中、
ふたり平安にすごせる小さくも暖かな場所・・・
そんな時をふたりで持つことができるだろうか。私の胸のなかでひっそりと願っている小さな希望。
私は、かえさんのためにできることなら、何事をも苦痛とは思わない。
かえさんのあの真珠のような涙を見てからというもの、私の心はかえさんに捕らわれていた。
かえさんは自分のおかれた状況がわからずに、混乱して、ただ純粋に泣いていた。
その涙がとてもきれいで、その純粋さがとてもまぶしくて・・・
そのときから、私はかえさんに恋をしていたのだ・・・
この思いに気づいてしまった今、どうやってかえさんに伝えたらよいのだろう。
どうすればかえさんにこの思いが届くだろうか・・・
素直にかえさんに伝えることができるだろうか。
かえさんの無鉄砲で無茶な行動も、ちょっと強情なとこや、ちょっとわがままなこともすべて受け入れる覚悟は出来ている。
かえさんがここにいてくれさえすれば、それでいい。
かえさんを守りたい。
小五郎さん・・・・」
かえさんが呼びかけてくれる。
かえさんの呼びかけに応えるように、私は私の思いをかえさんに伝える。
「かえさん、いつまでも私の傍にいてくれないか?これからさきどんなことがあろうとわたしはかえさんを守って見せるから」
小五郎さんが、まっすぐ私の目を見つめる。
小五郎さんの透き通った瞳に吸い込まれそうになる。
私のすべてを受け止めてくれる優しい瞳。
優しいけれど、この気持ちはだれよりも強く逞しい。
そのすべてをかけて私を守ってくれる。
私の気持ちはずっと前から決まっている・・・
私を包んでくれる優しい月の光、私を導いてくれる明るい月の光・・・
私は迷うことなく月の光に導かれるまま未来へ向けて歩いていこう。
「かえさん・・・」
小五郎さんが両手を広げて、私を包み込む。小五郎さんの鼓動と私の鼓動が重なりひとつになる。
小五郎さんがぎゅっときつく私を抱きしめ、耳元で囁く。
「かえ、愛している・・・・」
めまぐるしく変わる時代のなかで私たちは出会ってしまったんだ。
かえとともに、新しい時代を迎えたい。
<終>THEMA:スキマスイッチ「願い」
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