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2012/09/14 22:07

「よぉ王子、ごめん、オレの声思い出させてくんね?」

「‥お前、また声“喰って”来たのか」

鏡の部屋の中、知らない声と会話する。今までそんな事が一体何度あっただろうか

最初。彼が自分の声が分からなくなったと言った時

鏡の部屋の主は何があったのかと、本気で慌てたものだったが。今となっては慌てる事もせず

只々あきれるばかり。


真実を視せる彼にとって、何かを思い出させてやるのはとても簡単な事なのだ。

それが例えば、声だとしても



「‥誰の声を喰っても、何人の声を混ぜても‥アイツの‥たった一人の声さえも、真似出来ないなんて‥‥」

今までそんな事、無かったのに。と


自分の首に鎖で繋がれた指輪を眺めて、声泥棒は呟いた。





(‥大事なヒトを失って彼は、本当の自分も、失った)