2012/08/16 23:50「待っ、」
「‥待ちません」
「んんっ‥!」
ダン、と壁に背中を叩きつけて。“彼”の両手を上に上げさせ、それを片手で押さえつけたまま
空いているもう一方の手で、クイッっと顎を掴み口付けをする。
器用に舌を絡めとり、翻弄して。弄ぶ。
耳障りな水音が聞こえてくるのを無視して、互いに何も考えられなくなる程に
長い、長い時間。深く、彼を貪った
「‥‥は、っ‥」
「‥お前、なん、で‥」
はぁ、はぁ、と。苦しそうに息をして。涙で潤んだ瞳で
不思議そうに、困ったように
そして、悲しそうに。彼は自分を捕らえる人物を見た
お前が好きなのは、あいつなんだろう。と口にして
ふい、っと、視線を逸らした彼の首筋に
つ、と、舌を這わせれば、ビクリと震える。
「‥ん、‥‥や」
「‥何で、俺の好きな人が一人だって、決めつけるんです?」
「‥は、ぁ‥‥んぅ、あ‥」
首筋から、ゆっくりと。耳元へ
ぞくぞくする背筋、舐められた場所が、熱を持って熱くなる。
「俺は、‥俺はこんなにもあんたが欲しいのに‥あんたは、俺に見向きもしない」
どうしたら、俺のモノになってくれるんですか
「‥あ‥」
そうして。するり、と
彼のネクタイを解き、シャツのボタンを一つだけ外して
噛み付かれる。そう思い、目を瞑った彼に
「‥‥好きですよ‥先輩」
ちゅ、と、強く吸い付いて。小さな赤い跡を残した
(俺を見て、俺のモノになって、‥どうか“俺だけ”の‥あんたでいて)