ソーマとGE主人公♂。色々あって薬服用中。
夢ではなくうちの子。



疲れた。眠い。体全体が沈みこむように重くて、視界がぐらぐらと揺れる。余程ひどい顔をしているらしく、ヒバリに心配されてしまった。他にエントランスに人がいなくてよかった。
眉をさげてなにか言いたげに、でも、ただ事務的な受け答えと、小さく、おかえりなさい、とだけ言ったヒバリの顔を思い出す。わかっているからだろう。特務の内容がみれなくても、どういうものなのか。もしかしたら、リンドウのこともこうしていくら遅い時間になろうと待っていたのかもしれない。そして、おかえりなさい、と小さな声で出迎えて。
リンドウはどんな風に帰ったのだろう。ヒバリに心配をかけないように、笑ってみせただろうか。
自分は、うまく笑えていただろうか。
立っているのが辛くなり、シロは昇降機の壁に背を預けた。そのままずるずるとしゃがみこむ。膝を抱えて、目頭を押し付けた。
「ぅ、うー……」
どうしようもなく眠い。
部屋行かなきゃ、薬、飲まなきゃ。じゃないと、明日の任務は行けないのに。
がこん、と昇降機が止まる。
「なにやってんだ」
扉が開く音にゆるゆると顔をあげると、青い双眼がシロを見おろしていた。
「うお、ソーマ」
もうベテラン区画についたらしい。さりげなく昇降機の扉を抑えてくれているソーマに、慌てて立ち上がる。
ぐらり、と。
揺れる。揺らぐ。
視界が歪んで、壁に手をついた。
「っ……!おい」
「あー……ごめん、ちょっと立ちくらみ。大丈夫だから」
すぐに視界は戻ってきた。
大丈夫、大丈夫。
うつむいていたままで横目にソーマを見ると、慌てて伸ばした手を引っ込めようか、それとも差し出すべきかと逡巡しているようで、眉間にしわを寄せて自身の手を睨んでいた。
優しいのに、本当に不器用だ。
「……ふ、っはは」
「何笑ってんだ」
「や、かわいいやつだなーと思って」
「あ?なんなんだ……」
顔を上げると素早く引っ込めた手。怒ったような目の奥には心配そうな色がのぞく。
俺は、幸せ者だなあ。
「シロ」
「んお?」
「部屋までいく。途中で倒れられても迷惑だ」
なんなんだろう。
「ソーマが優しー……」
「ぶん殴るぞ」
「へへ、ごめーん」
「はあ……」
呆れたようなため息をつかれたが、どうしてもにやにしてしまう。
昇降機を降りてしまえば部屋はすぐそこだ。わざわざ送ってもらうような距離でもない気もするが、甘えておくべきだろう。
廊下を黙々と歩いて、突き当たりのシロの部屋。ドアを開け、水道へ向かう。薬を一気に口に含み、適当に水で流し込んで、そのままふらふらとベットに倒れこむ。ふかふかの布団に沈みこむと、ソーマに会って幾分か覚めた頭に急速に眠気がやってきた。
「……シャワーいいのか」
「気持ち悪いけど、眠いし無理……明日あびる」
「怪我は」
「軽いから、いい」
「ったく…」
意識がしずむ。ぎし、とベットが軋んだ音を立てる。ソーマが座ったのか。わからない。目を開けるのが億劫で、でも、これだけは言っておかなきゃ、な。
「……そーま」
「ん」
あれ、なんか。
いつのまに。
いつから。
ソーマに合った後から。
そういえば、笑えてる。
「ありがと」
おやすみ。


消え入るような声の後、すぐにシロは小さな寝息を立て始めた。
「チッ……隊長ぶってるつもりか」
すっかり眠りこんでいるシロの服を脱がせると、傷だらけの体があった。動けないほどのものではないし、血もすでに止まっているが、軽いと言えるものでもない。部屋に常備されている救急箱から包帯や消毒薬、その他もろもろを取りだして手当てをする。
「無茶、すんなよ」
呟いた言葉は、きっと届いていない。



「そういやソーマあんな夜中になにしてたの?」
「……っお前には関係ねえ!」



ソーマはたぶんシロの帰りを待っててくれたんじゃないかなあ(適当)




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