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イトル未定
10

別に、彼女とどうこうなりたいというわけではない。
せっかく知り合ったのだから、お互いについてもっと知りたいとは思うが、所謂モノにしたい等という気持ちは毛頭ない、……たぶん。
そもそも、男女の関係をうじうじ悩んでいても仕方がない。
そのようなことに割く時間や余裕はないし、訓練や任務が第一なのである。
こうして後回しにしてきた結果が今の自分であったが、大きな不満がある訳でもなく、隊長のようにいつか理解ある伴侶が現れるかもしれない。
たまの休みにナマエと会うのは本当に楽しかったが、周りに冷やかされる程のことではないと思っていた。

「ピアーズさん、この前のお店はどうでしたか」
「おう、助かったよ。ナマエも喜んでた」

そのたまの休みが明けた今日、トレーニング後の更衣室でフィンに話しかけられた。
と、言うのも俺はナマエと会う時に利用したいと考えていたカフェや甘いものが充実している店を全く知らず困ったため、後輩を頼ったのだった。
先日のナマエの訪問で彼女の存在は仲間の周知だったため、開き直って聞いてみた。
結果、その判断は正しかった。
雑誌やネットで調べるよりも、身近な人の意見を参考にすることの良さを再確認した。
フィンは、休日にそのような場所でリフレッシュすることが多いらしく、落ち着いておりメニューも充実しているカフェをいくつか教えてくれた。
ナマエには、素直に後輩から教えてもらったことを伝えたのだが、親身に教えてくれるということは俺も後輩に慕われている証拠だ、と嬉しいことを可愛らしい笑顔で言ってくれたものだから堪ったものではない。
彼女は、一緒に食事をすれば美味しそうに食べ、話をすれば楽しそうに笑い、その度に俺の日頃の疲れはどこかへ吹っ飛んでしまう。
自信はないが、俺も彼女にとってそのような存在になれていたら良いなと思った。
前に述べたことと矛盾しているかもしれないが……、やはり先のことをどうのこうの考えても仕方ない。
それに、今は勤務時間中である。
俺はフィンの腕前のチェックも兼ねて、射撃訓練へと誘って更衣室を出た。


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