ダイナマイトを持っていたりマスクを装備していたりと、並大抵の攻撃では倒れてくれなそうな兵士が次から次へと出現する。
ステージも入り組んでいるので、下手に逃げれば挟み撃ちにされる可能性もあった。
「ナマエ!俺から離れるな」
「うわ、ごめんなさい!」
地道にアーチェリーで敵を一体ずつ倒しているクラウザーが、アイテムを回収するためにうろちょろしているナマエに呼びかけた。
敵も厄介だけど、クラウザーも怖いな……
特に顔!
ナマエは慌てて構えたアーチェリーを下ろす彼の元へと駆け寄った。
「バラけて襲ってくるのが鬱陶しいな。まとめられれば一撃なんだが……」
「うーん、じゃあ囮になろうか?」
「バカなことを言うな。……やはり確実に仕留めていこう」
そのほうが良い、と言うクラウザーにナマエは目を丸くした。
えー!実は仲間思いだったの!?
もう半裸のマッチョとか思うのやめよ……ごめんね
黙々と矢を放ち時折背後のナマエを気遣いながら、クラウザーは孤島を進んで言った。
その時、何かの衝撃音と不気味な笑い声が聞こえ、二人は辺りを見回した。
「クラウザー、あそこ!」
「出たか、ガトリング軍曹」
二人がいる見通しの良い所よりも上の方に奴はいた。
それは愉快そうに敵味方見境なくガトリングを乱射している。
「一旦引くぞ」
言われなくても逃げますよ!
クラウザーが優しい人で良かった……囮になってたらどうなってたことやら
二人は軍曹の死角になる所を進んで行き、道中、兵士を倒してアイテムを稼いでいた。
「これで閃光手榴弾で攻められる!」
「よし、頼んだ」
光が軍曹に届く所目掛けて投げれば、巨体と言えどもその光に目が眩んで暫し蹲る。
その時間を利用して二人は少しずつ軍曹に近づいて行く。
何度かそれを繰り返していると、奴はすぐそこに。
クラウザーの背後からもう一度閃光手榴弾を投げれば、目の前で奴は蹲った。
今だ!
クラウザー行けー!!
左手を変形させて構えるクラウザーを、握り拳に力を入れて見守っているナマエ。
風を切る音が聞こえ、軍曹と周りにいた兵士達が吹き飛んだ。
「やったー!クラウザー強い!」
「ナマエの協力あってこそだ」
え!?何これ褒めてくれてるのかな!
テンション上がるな〜
元に戻った彼の腕を見て、ナマエは急いで調合ハーブを取り出した。
「所々腫れてない?」
「暫くすれば治る」
隠すようにアーチェリーを構えるクラウザーに、ナマエは少し躊躇ったが、前に回り込んで出し抜けに霧状になったハーブを吹きかけた。
「おい!貴重なハーブが……」
「だって、いつでも強いクラウザーでいてほしいからさ」
ね?、と笑うナマエに面喰らったような表情をしていたが、少し嬉しそうな笑みを浮かべると、小さく「ありがとう」と呟いた。
その後も、アイテムを稼いで軍曹に備える戦法で、何とか3体目を倒した二人は梯を昇って建物の上に来ていた。
追いかけてきた兵士を下に蹴落としていると、またナマエが彼にスプレーを吹きかけた。
「酷使しちゃったかな、大丈夫?」
「ああ、手当てが適切だから問題はない」
そう言って下方に矢を放つクラウザーを見て、ナマエは安堵した。
たくさん回収した手榴弾を取り出し、彼女も負けじと警戒している遠方の敵に投げ込んだ。
「あれ?」
「何もないところに投げるなよ……」
検討違いな場所で爆発する手榴弾を呆れたように見るクラウザーに、ナマエは笑って誤魔化した。
仕方なく、彼女はクラウザーが次々に蹴落とした兵士たちの上に焼夷手榴弾を落としていくのだった。
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