入り口から村に足を踏み入れると何処からともなく現れたおじさん、おばさん達がレオンとナマエを取り囲み始めた。
一方的に何か言われているが、空耳している余裕はなく、ついでに鶏も走り回っており騒がしいことこの上ない。
「ナマエ、下がってろ!」
ライオットガンを構えるレオンの背後に回ってナマエは身を屈める。
彼は近寄ってきた敵を確実に仕留めていった。
「アイテム回収は頼んだ」
そして、相手との距離を確保できたレオンはハンドガンで彼らの足を狙い、体術で留めを指すために走っていった。
やっぱカッコイイなー
等と思いつつも、ナマエは彼の役に立つために地面に残されたアイテムをせっせと回収する。
おーおー、ベリィトゥベリィもきまってますなー、って痛ッ!
向こうで闘っているレオンを呑気に眺めていた彼女は鶏に体当たりされたようだ。
追いかけてやろうか、このチキン
殺気を感じた鶏は慌てて牛舎の方へ逃げていった。
レオンの度重なるナイスショットの甲斐あってナマエのアタッシュケースはアイテムでところ狭しとなった。
「そろそろ籠城しない?」
「ああ、待ち伏せしよう」
二人のやり取りを聞いていたかのように、どこからかけたたましいモーターの音が近づいてきた。
「姉妹来たー!」
「ぼーっと見てないで行くぞ」
腕を引き、レオンはナマエと倉庫に向かった。
彼が扉を蹴り開けると、急いで梯を昇りきった。
それと同時にチェーンソー姉妹が村人と共に倉庫に押し入ってくる。
梯を蹴落とし、彼らが集まってきたところでナマエが手榴弾を投げた。
ドラム缶の爆発と相まった轟音と震動に身を竦めた後、ソロソロと下を覗き込めば、起き上がった姉妹の顔に巻かれた包帯の隙間から目だけが見える。
「ヒッ」
「ほら、追撃だ」
レオンはナマエの腰から焼夷手榴弾を手際よく抜き取り、燃え尽きるタイミングを見計らって次々に投げていった。
うわ、めっちゃ楽しそう
口角上がってるよこの人……!
レオンの腹黒い部分を垣間見たナマエは息絶えて消え行く姉妹に少しだけ同情した。
「よし、スプレー回収ついでに場所を変えよう」
「ラジャー」
ずるずると尻から降りるナマエの横で、レオンは身軽に飛び降り、二人は再び村の中央に走り出す。
ここからはまた分担して、民家を物色していった。
レオンが樽や箱を壊せば、ナマエがアイテムを拾う。
その途中で村人に見つかればレオンが銃撃し、またナマエがアイテムを拾う、といった感じだ。
屋根の上から二度目のチェーンソー姉妹を倒し危機を乗り越えた二人は、物見櫓の梯の前に来ていた。
「結構な数、倒したみたい」
「息もピッタリだ」
そう言って微笑んだレオンに思わず見とれそうになる。
鼻血出そう……
「じゃあ敵の来ない上で手当てをしながらヘリを待つか」
「ういっす、あ」
この垂直の長い梯を昇るの、怖すぎ
上を見上げたままナマエの足が竦む。
一歩を踏み出せない彼女にレオンがもう一度声をかけた。
「どうした?」
「いや、その……あまりに長い梯だから怖くて」
「大丈夫だ、すぐ後ろに俺がいる」
いやいやいや、もし落ちたら余計悲惨だよ!
レオン巻き込んで落下とかファンに何言われるか……!!
えーとか、うーとか、唸っているナマエを、「いいから。早くしないとまたチェーンソーが来るぞ、な?」と宥めて梯に足を掛けさせた。
少しだけ昇った今はまだ落ちても着地できる高さなのでなんとかなるが、ここから先、昇り切るまでが長い。
「よし」
「よし、って、ちょ」
近!
なんで私の足がある位置にレオンの手があるの?
なんで私の尻のすぐ後ろにレオンの顔があるの!?
「さあ、昇ろう」
ほれほれと掌で尻を押してくる真顔のレオンに、ナマエは泣きたくなった。
「うわあああ!」
なかなか櫓に着かないのが怖かったが、尻を揉まれたくない一心でナマエは勢いに任せて上りきった。
レオンのばかやろう!
どうせ触るのに躊躇する尻じゃないわい
飄々と上りきったレオンに、ナマエは調合したてのグリーンハーブを顔目掛けて吹きかけた。
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