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 ジュナに辿り着いたのは丁度真上に太陽が登りきった時だった。
 目の前に広がる森を指差し、ソアがそこがジュナであると教えてくれた。

 森は深い森に覆われている様に見えるが、どうやら巨大な池に浮かぶ浮島の様で、門から長い橋がかけられているのが伺える。
 門は簡素に作られたものであったが、フェテス村と違い常時門番がいるようであった。
 エリス達の前に先程辿り着いたばかりであろう馬車が置いてあり、門番と御者が話をしているのが見えたが、近づくに連れてエリス達はその異変に気付いた。

「おい! そんなの可笑しいじゃないか!」
「ジュナは今、シャルト軍が正式な手続きの元介入している。市民一人が喚こうが構わないが、まさかここで事を荒立てていいと思っているのか?」

 門番であろうと思っていた人物は鎧で身を固め、そこにはシャルト軍の紋が押されている。
 何やらただならぬ雰囲気を感じ取り、三人は木陰に隠れ門番と御者の話に耳を傾ける。

「くそ…なんてやつらだ…」
「命拾いしたと思え。一般庶民が…我らの慈悲があったと思え!」

 門番は声を張り上げ御者は追い返すと、大きく鼻を鳴らして門番所へと戻っていった。
 どうやら門番所は何人か駐留しているようで、笑い声が聞こえる。
 イリスの隣に腰を据えて居たエリスは深い溜息をつきながら立ち上がる。

「…何とも楽しそうな門番所だな…嫌な感じだ。権力振りかざしてって感じ」
「…まあ、シャルト軍の一般兵はあんなものでしょう」

 エリスを横目に、イリスも立ち上がりズボンに着いた砂埃を払いのけながら言う。

「でもよ、流石にあんな言い方は無いんじゃねえか?」
「んー、あんな言い方っていうより、シャルト軍が介入して町全体を封鎖って所がなんか可笑しくない?」

 今まで黙っていたソアは腕を組みながら、門番所を見つめそう言う。
 イリスはその言葉に一つ頷くと、手を口元に当てて考える素振りを見せる。

「そうですね…何か事件でもあったんでしょうか」
「んん、でもそれにしては静か過ぎるよね」

 ソアは小首をかしげながら言葉を返すと、イリスは息をつきながら頷く。

「…どうしますか? 見る限りあの御者の方はジュナへ食物の入荷できているのに、門前払い。あの様子では旅人の僕たちは到底入れてもらえない感じがするのですが」
「…んまあ、最悪これを門番の奴に渡して受け取って貰えればいいけどな」

 そう言ってエリスはポーチから、クワースリから受け取った書状を出して見せる。

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