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 シャルト軍の軍服は、階級により軍服のデザインが変わってくるものの、主に落ち着いた青を貴重とした軍服だ。
 納屋の影に隠れジュナを見渡すと、人々は皆一様に同じような白の上着に色のズボンやスカートを身につけていた。

 ジュナは神聖な場所として古くから隔離されていた為、独特な文化が育まれたらしい。
 自然と共に生きてきたその時間の中、常に身を清める為に光を表す白い服を好んで着ているのだとイリスは説明した。

 先ほどまであんなに騒がしく探していた兵士達も流石に諦めたのか、今は風や川のせせらぎなどが聞こえるだけでとても静かである。
 確かにこの中で探せと言われれば、想像するだけでも探すのは容易であることは分かった。
 そしてロキの言葉通り、それは自分達も例外ではないこともだ。
 監視の目が薄れている隙に、イリスを先頭に隠れながら先に進んでいく。
 大通りに面した雑貨屋の壁に沿いながらに歩いていき、大通りへと視線を遣るとイリスは声をあげる。

「…あ、居ましたよ」

 イリスはそう言うと、大通りに固まっているシャルト軍を指差した。
 次にエリスが顔を出してそれを確認すると、少し苦い表情をする。

「本当だ。でも無断で入ってきたも同然の俺らだし無鉄砲に声かけるのはまずいよな…」
「…ちょっと待って! 見て、きっとあの人が軍士隊長だよ!」

 屈んでいたエリスの上にのしかかるように乗り出すソアは、シャルト軍の鎧に身を纏う兵たちの間で一人違う制服を着て、指示を出している人を指差した。
 遠くからで性別までは判別出来なかったが、陽の光に煌めく金糸は肩より少し下程まである。

「…あの女?」

 少し場所を開けてやると、ソアはエリスの背から下り、その場に座り込むと穴が空くほどにその人を見つめる。

「…女かどうかは分からないけど…胸のペンダント! あれは代々軍士隊長が持つ物だよ」
「確かに軍士隊長は金の金貨が付いたネックレスを持っていますからね。そうであればビンゴです」
「…お前、よくここから見えるな…」
「えー? エリス目悪いんじゃないの?」
「お前が良すぎなだけだっつーの。でも、そうなら行くしかねえよな」

 エリス本人が確かに確認ができた訳ではないが、胸元に揺れる何かが髪と同じく陽の光に当てられキラリと輝いて見えた。
 ソアのいう通りであるならば、その人物が軍士隊長であるのは間違いはないはずだ。
 緊張感が走り、三人は乾いた息を飲む。

「…あの方の言葉を信じると言うのは甚だ心配ではありますが…行ってみるしかありません…行きましょう」
「そうだな。腹くくって行くぞ」

 三人は顔を合わせると確かめるように頷き、汗ばむ手を握り締めて前に進んだ。

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