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「まかせろよ! な、イリス!」

 イリスの肩を叩きながらエリスが嬉しそうに笑顔でそう言うと、イリスも先程とは違い、柔らかな表情で頷き、アーガテイとクワースリに向き直り頭を下げた。

「申しわけないです、本当にありがとうございます」
「気にしなくていいんだよ。あたし達は臨時休暇ってことでゆっくりできるしさ。ね、クワースリ」

 アーガテイが、隣のクワースリを仰ぎ見ながらそう投げかけると、クワースリは優しい笑顔で頷いた。
「ああ、そうだな。アーガテイの言うとおりだ! ちなみに、ジュナには俺たちと同じく許可証関係でシャルト兵がまだ滞在してる。戦闘部の服だし、ジュナの村ではかなり浮いてると思うからすぐ見つかるさ」

 クワースリはそう説明すると、二人は「分かりました」と声を揃えて返した。

「聖なる村・ジュナか! なんかわくわくしてきた! 早く行きてーな!」
「はい。記憶の柱にも興味もありますが、常々ジュナには行ってみたいと思っていましたから嬉しいです」

 二人の表情は先程とは比べ物にならない程に輝いており、クワースリは思わず胸を撫で下ろし、そして気付かれぬ様に小さく笑った。
 そうというのも、血は繋がってはいないが、小さい頃から同じ環境で育ち、尚且つエリス達の母親が亡くなってからは何かと世話をしてきたのだから、クワースリにとっては弟と変わらない存在なのだから、何かしてやりたいと思うだろう。
 イリスとエリスは頼る事を嫌い、クワースリにすら頼ることを一切言わなかった。
 そんな二人の願いだからこそ、どうしても叶えてやりたかった。笑顔を無くさせたくなかったのだ。

 そんな二人は、興奮冷めやらぬ様子で二人は楽しそうに声を、そして期待に胸を弾ませている。
 クワースリは、ふと部屋に掛けられた時計に目を遣ると声を上げた。

「じゃぁ、早く行かないとまずいよな。もう第三の鐘が鳴る時間だ」
「本当です。早くしないと日が暮れてしまいますね」
「あ、じゃぁ早く荷物を取りに行こうぜ!」
「そうですね」

 エリスがいち早く立ち上がり、それに続いてイリスも立ち上がると、目の前にいる三人にいる三人に頭を下げた。

「それでは、僕たちは荷物を取りに一度家に帰りますね」
「了解。じゃあ俺たちはぼちぼち正門に向かうとするかな。正門で待っているよ」

 クワースリは緩く立ち上がり、そう伝えるとエリス頷く。

「分かりました! すぐに向かいますから! イリス、行くぞ」

 そうエリスはイリスに投げかけるも、本人の有無を聞く前に手を引いて、そのまま部屋を後にした。


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