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「さて、本題へと行こうか」

 クワースリ先程とは打って変わって真剣な面持ちで口を開いた。
 アーガテイとクワースリはイリス達の向かいのソファーに腰を掛け、シャーリはクワースリの横に立っていた。

「クワースリさん、離村式の件なんですが…」

 クワースリの真向かいに座ったイリスは、今問題になっていた事を口にすると、クワースリは少し難しい顔をしながら話出す。

「言いにくい事なんだが、実はイリス達が離村式に行っても式にはでれなかったんだよ」

 その言葉に、思わずエリスが目を見開きクワースリへと目線を向けると、クワースリは困った様に笑い言葉を続ける。

「離村式への許可をとるのは、王都シャルトにいるランフェス総監〈グヴェルヌール〉の許可をとらなければならない事は知っているよな?」

 クワースリの問いにイリス達は頷くと、クワースリは小さく微笑み、言葉を続ける。

「で、その許可証ってもん…まあお前らは分かってると思うが、直々に色々点在している村や街に持っていく仕事を請け負っているのが、俺の所属する「情報部」ってわけなんだ」

 と、クワースリは隣に居るアーガテイへと目線を向ける。

「そうゆうことで、あたしとクワースリはフェテス村に一時帰宅ってわけだったんだ」
「まあ頭の良いお前等なら多少ばかし勘付いて頂きたいな、と…」

 そこで言葉を濁し、先を言わないクワースリに痺れを切らし、エリスは一つの仮説を口にする。

「俺等が離村式に出れないのは許可証が今ここに無いからですか?」
「大正解」

 冗談であってほしいとの思いを込めて、笑い混じりにエリスが聞けば、大きな溜息を吐きながらクワースリは頷いた。
 すると、イリスがクワースリの溜息よりも大きな溜め息を一つ漏らした。
 シャーリの煎れてくれた紅茶に口をつけ、カップを置くと、小さな息をつき頭を抱えながら呟く。

「それはどうゆう経緯なんでしょうか? 説明お願いします」
「…実はその許可証って物が盗まれたの」

 アーガテイは言いにくそうにそう答え、肩を大きく落とした。

「盗まれたって…」
「正確には襲撃にあった、だな。夜盗だよ、油断してた」

 エリスは信じられずに呟くと、それにはクワースリがさらりと答えた。
 ただその声色とは裏腹に、指を組んで先を見るクワースリの顔は険しかった。

「クワースリさんとアーガテイが、ですか? そんなことって」

 イリスも続けて問う。
 この二人の強さならば、一人や二人の野党ごとき動作もないはずだ。
 現にこの二人の強さはエリスとイリスが一番知っていた。
 剣の使いも、妖精の使い魔〈メサージュドゥラフェ〉の扱いは只者ではない。


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