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王都シャルト。
そこはこの世界、ノジェスティエを統べる都である。
その昔、ヒトビトは妖精達の世界『メルセデス』に住んでいた。
メルセデスは光の妖精・女神ミズチにより作られた世界である。
光の力の加護を受け、喜びと幸せが溢れ、美しい世界であり、光の妖精、そして光に仕えし四大妖精の風・地・水・火の光の従者達により、平和は保たれていた。
だがある時、メルセデスに破門された闇の妖精・ディラマルカにより、メルセデスは未曾有の危機に陥る。
闇の妖精は死をばらまき、弱きヒトビトの命を奪い、闇の妖精族は不幸をばらまき、戦争となった。
メルセデスを、ヒトビトを守るべくして光の女神と光の従者達は戦い、ながいながい戦争の末、光は闇に打ち勝つことが出来た。
だが闇の妖精は強く、光の女神は戦いにより深い傷を負ってしまい、メルセデスの修復をすることができなくなってしまった。
メルセデスは以前の面影を無くし、荒廃していくしかなかったのだ。
荒廃が進むと、弱いヒトビトはその命を亡くしていく。
だが光の妖精は何もできず、弱り、疲れ果て、深い深い眠りについてしまった。
光の女神は夢の中で毎日泣いていた。涙を流し、ヒトビトに懺悔し、自身を責めた。
女神はヒトビトを、皆を愛していたのだ。
ある日、光の女神から一滴の涙が溢れた。それはメルセデスより遥か下へ下へと落ちていく。
するとその涙が漸く地に着くと、美しき世界、後の繁栄の地・ノジェスティエが広がった。
青く広い海、広がる空、溢れる緑と豊かな大地、その上に育まれた命。
それはいつしかのメルセデスそのものだった。
光の従者達は女神とメルセデスに残ることを決めたが、弱きヒトビトをノジェスティエに降ろす事にした。
そして一つ、約束をさせた。
ノジェスティエに光の女神、光の従者達の力を還元できる触媒、神殿を立てること。
そしてこれにより、永久な平和を約束したのだった。
『旧・光の女神伝下巻参照』
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