2

それから約1ヶ月。

一磨さんの舞台の仕事が無事に幕を閉じた頃。

「Waveとのコラボ企画の打診があったんだが……」

という山田さんからの突然の呼び出しから2週間。

わたしはWaveとユニットを組むことになり、それに合わせてのトレーニングを積んでいた。

「ドラマの撮影と並行してだが、大丈夫か?無理な時は早めに言え。調整するから」

「はい、ありがとうございます」

ドラマの撮影現場からWaveとの練習スタジオをへと移動する車内。

山田さんはそう言ってわたしの顔をチラリと見やった。

(確かに今までにないハードスケジュールだけど……Waveのみんなはもっとたくさんの仕事をこなしているんだし……)

「まあ、引き受けた以上、全力で頑張れ。俺も全力でサポートする」

スタジオに着くと、車を降りる間際、そう言って山田さんはフッと笑みを浮かべた。


「今回のユニットだけど、Waveのみんなと詩季ちゃん、一人ずつが作曲した全6曲をアルバムにして発表しようと思う」

ミーティングルームに集まったみんなに、プロデューサーさんから告げられたのは、そんな言葉だった。

「えっ、マジで!?」

「初っぱなからアルバムってテンション上がるね〜」

「へぇ……なかなかやる気みたいだね」

一番に叫んだ翔くんに続いて、亮太くんと京介くんがニッコリと笑いながら口を挟む。

「……作詞か……」

「おい、お前ら……話を聞けよ」

3人とは対照的に、無表情のままボソリとつぶやいたのは、義人くん。

そして、そんな相変わらず個性豊かなみんなをまとめるのは……一磨さんだ。

(……作詞、か……)

義人くんではないが、わたしも作詞という言葉に、少しの不安を覚えていた。

「詩季ちゃんは初めてだったよね?作詞するの」

「は、はい……」

「大丈夫だよ、そんなに固まらなくても。僕もフォローするし、翔くんや一磨くんは何度か作詞の経験があるから、二人に聞いてもいいし」

プロデューサーさんの言葉に、一磨さんが優しく微笑む。

「俺たちで良ければ、少しくらいはアドバイスできると思うよ」

「ありがとう……ございます」

一磨さんの穏やかなまなざしに、つい、いつもの口調に戻ってしまいそうになり、慌てて仕事モードに切り替えた。



* #

2/176
BKM/BACK
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -