【ルームシェア素顔のカレ】

(うーん……)

窓から差し込む光に、ぼんやりと意識が浮上していく。

部屋の時計を確認しようとすると、目に入って来たのは…

(裕ちゃんの、部屋……)

ふと気づくと、裕ちゃんは私の腰に腕を絡みつけたまま眠っている。

(そっか……昨日の夜……)

もうみんなは出かけたのだろう、リビングの方からは物音ひとつ聞こえない。

四つ葉荘には裕ちゃんと私、ふたりだけ。

「ん……」

パジャマを着替えようと、小さく身じろぎをして腰の手を外そうとした時。

「ん?……あ。はよ?」

うっすらと瞼を開けた裕ちゃんの焦点が私に定まった。

「可愛いっ!目覚めて最初に顔が見れて、オレ超幸せ♪」

ニコッと笑って嬉しそうに言った裕ちゃんは、そのままガバッと私に抱きついて来た。

「離れちゃやーだ!今日はオレから離れちゃダメッ!」

「えええっ!?」

恥ずかしさと嬉しさで、思わずすっとんきょうな声を出してしまう。

「オレだって、ずっとふたりっきりになりたかったんだから。ガマンしてたんだよ?」

「裕ちゃん……」

「そうだ、今からずっと一緒にこの部屋で暮らそう!」

「ゆ、裕ちゃんっ?」

思いがけない言葉に、私の顔は真っ赤になる。

「あー!ホントに可愛い!!もう……オレをこんなにも溺れさせてくれちゃって……」

最後は小さく、消え入るような声だった。

「なんて、一緒の部屋はカズさんが許してくんないから……それはちょっと先のお楽しみってことで……予約していいか?」

「予約、?」

「オレのお嫁さんになるって、予約」