【朧月】

ひらり、目の前を薄桃色の花びらが舞い降りてゆく。

庭の真ん中で、七分咲きの桜が一本、まだ冬の名残を残す夜の帳に身を潜めるように佇んでいた。

視線を空へと移すと、やわらかく霞む朧月。

ふわりとあたたかい、心をそっと包み込んでくれるような、そんな穏やかな夜だった。


幕恋アンソロ企画



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