平成23年3月11日。
自然の前には、人はとても小さくて。
とても弱くて。
自分の無力さを強く感じた。
忘れもしない、あの日。
始まりは、一本の電話。
「仙台でミニライブをしようと思っている。キミも……一緒に来る?」
神堂さんからの突然の誘いがあったのは、2週間前。
わたしが東日本大震災に心を痛めていることを知っていた彼は、そう声をかけてくれた。
そして昨日。
「他の知り合いにも声をかけたんだが……思ったより人が集まってしまった」
電話口の声がやわらかくなったと思うと。
彼はクスッと小さく笑って言ったのだ。
「仙台行きとは別に、東京でチャリティーコンサートを開くことになった」
そして、そのコンサート当日。
東京ドームに集まったのは、錚々たる顔ぶれだった。
国民的アイドルグループ、Wave。
JADEと並んで世界中で活躍する人気ロックバンド、トロイメライ。
抜群の歌唱力で人気を博している、エマノン。
この企画の発起人、JADE。
他にもたくさんのアーティストが参加していて、わたしもその中の一人だ。
事務所やレコード会社、グループの垣根を越えた、今回の企画。
わたしは改めてJADEの与える力。
音楽の力を感じていた。
何か、自分が出来る小さなことを、ずっと続けて行きたいって。
そして、目の前にいる人たちを、精一杯愛していこうって。
大切な人のことを、誰かのことをいつも、いつまでも想っていこうって。
この気持ちが、愛するあなたへ届きますように。
そう願いを込めて、祈りを込めて、わたしはステージに向かって足を踏み出した。
――End.